個人向け家計簿、資産管理サービスや企業向けのクラウドサービスを提供するマネーフォワードが6月20日、子会社の設立と企業間後払い決済サービスに参入することを明らかにした。100%子会社であるMF KESSAI株式会社は3月設立、社長には冨山直道氏が就任した。新会社は、書類の発行など請求に関する業務を代行。顧客企業の業務負担、コスト削減を図る。

別会社にした理由、競合他社と比べての強みとは

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(写真=FinTech online編集部)

新サービス「MF KESSAI」は、利用する企業にかわって請求書の発行や送付、入金管理や督促をしてくれるサービス。取引先企業の与信審査もしてくれるといい、数分から半日程度で結果が伝えられるという。利用には、手数料として1-3%程度かかる見込みだ。

同社によると、中小企業の請求業務の負荷は月末・月初に95%が集中するという。また仕入れ分の支払いから売り上げが入金されるまでにタイムラグがあり、場合によっては資金不足で仕入れができないこともあるという。こうした後払い、未回収のリスクを抑えられるサービスといえそうだ。MF KESSAIはMFクラウドを使っている企業でなくても利用できるという。

新会社の冨山直道社長は、あずさ監査法人で会計監査業務などに従事した後、2014年にマネーフォワード入社。MFクラウドシリーズの営業・事業戦略・新規事業立案まで関与し、全国の会計事務所200社、一般事業会社200社の導入支援も経験してきたという。またマネーフォワードで活躍した若手を抜擢しており、取締役には同社新卒一期生の丸橋得真氏(25)がエンジニアとの兼任で参画している。

質疑応答で子会社設立の理由を問われたマネーフォワード辻庸介社長は、「新会社は主な業務が与信や債権管理であり、テクノロジー、データの面からMFクラウドとシナジーもあるため、社内でやったほうがいいという意見もあった」としながらも、「お客様の債権債務を持つ、ある意味で“B/Sを使う”サービス。法人も分けたほうがいいと判断した」などと述べた。

そのうえで、「もう1点の理由は私の強い思い。当社もベンチャーとしてワンルームで数人のところから立ち上げ、ゼロをイチにするということを経験してきた。今回も新しいサービスでいろいろなチャレンジができる環境をつくりかった」などと述べた。新会社はマネーフォワード本社のある田町ではなく、大手町のFINOLABで活動している。

企業間後払い決済サービスは競合が数社あるが、MF KESSAIの冨山社長は自社の強みとして、入金・支払いまわりのニーズが細かいこと、競合がやっていない「早期入金サービス」があること、MFクラウドなどのサービス開発の歴史からAPIの知見もあり、連携しやすいこと--などを挙げた。( FinTech online編集部

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