IoT(Internet of Things)の波がエネルギー分野にも押し寄せている。電力自由化によって電力以外の多くの企業や事業者が電力ビジネスに参入する一方、IoTによって、電力のコントロールが容易になったためだ。そうした背景から登場した新しいビジネスとして、アグリゲーション・ビジネスが注目されている。

一つの発電所のように運用

IoT,エネルギー
(写真=Lumppini/ Shutterstock.com)

アグリゲーションは、直訳すれば、「集荷する。束ねる」という意味である。エネルギー、電力分野でこの言葉が使われる場合、「いくつもの需要家側の電力リソース(電源)を束ね、あたかも一つの発電所のように運用するビジネス」をアグリゲーション・ビジネスと呼ばれる。

アグリゲーション・ビジネスが登場した背景には、2016年4月から始まった電力全面自由化によって、日本のエネルギー供給構造が大きく変わったことを見逃せない。日本の電力供給体制は、従来、地域独占体制による国内10社による発電から送電、販売までの一貫体制によって維持されてきた。発電所も、大規模集中電源方式といわれるように、特定地域に集中した大規模な原子力発電、火力発電によって、大都市などの遠隔地に送電される方式がとられてきた。

電力自由化はそうした体制に風穴をあけ、さまざまな事業者が発電、販売分野に進出することを可能にした。自由化による競争促進によって、高止まりしている日本の電気料金の引き下げと、電力発電コストの低減が最大のねらいである。

分散型電源の広がりが背景