国家発展計画委員会(通商産業省に相当)は、「中国の地下鉄網は十八大(2012年の第18回党大会)以来急速な発展を遂げた。一本の地下鉄路線は都市の新しい座標となる。市民の利便性は増し行動範囲を拡げ、都市生活はより多彩となった。」と自画自賛している。問題点はないのだろうか。

爆発的に増加

中国経済,地下鉄,鉄道経済,捜狐
北京の地下鉄(写真=testing/ Shutterstock.com)

ニュースサイト「捜狐」は、地下鉄の規模が急拡大している話題を取り上げた。それによると2012〜2016年の期間に新たに10都市で地下鉄が開業し、これで地下鉄を運行する都市は27市となった。

新規開業したのは、合肥、南寧、東莞、福州、青島、南昌、無錫、寧波、長沙、杭州の10都市である。

営業キロ数は2倍以上の1740キロも増え、合計で3169キロとなった。年間旅客輸送量は、延べ87億人から160億9000万人へ、1日平均では、2448万2000人から4408万人へ増えた。

ちなみに日本は、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の9都市、約750キロ。新線の計画は東京と大阪にあるが事業化されるかどうかわからないため、ほぼこれで打ち止めである。

さらに3年で2倍に

国家発展改革委員会基礎産業司の話によると、北京・上海・深セン・広州の一線級都市から、成都、南京、武漢、青島、寧波などの各省の中心経済都市へと、建設の重点は移っている。一線級はネットワークがほぼ完成、二線級都市は、発展の階段へ乗ったばかりで、ネットワーク形成はまだこれからだ。2020年までに6000キロ達成を目指しているという。3年でこれまでの2倍という計画だ。

また同委は、面積20平方キロ、人口18万人あれば地下鉄駅の運営は可能であるという。そして駅を中心に、ビジネス、商業、文化、教育、居住の一体化した街が形成される。現に上海では50を超える売上10億元級SCの過半数は地下鉄駅にある。だから大丈夫だということらしい。本当にそうだろうか。

山東省・青島市の場合

山東省・青島市の場合を見てみよう。同市での地下鉄建設が始まったのは2012年、2号線と3号線ほぼ同時であった。3号線の北半分が開通し、営業運転を開始したのは2015年12月だった。同線が全線開通したのはその1年後だ。まだ生まれたばかりである。しかし計画はすでに16号線まである。現在、実際に7路線を建設中だ。区間開通を含め2021年までに営業運転を開始する予定である。

青島市の人口は909万人(2015年)だが、これは広域の日本でいう県の人口である。古くからの市街地である中心5区の人口は250万くらいだ。これで人口2426万人(2014年)を誇る上海の19路線(計画中含む)とあまり変わらない計画は、誰が見ても無謀である。

しかし青島市はすでに『交通基礎設施重大工程建設三年行動計画2016〜2018』を国家発展計画委、交通運輸部(国土交通省に相当)に認めさせている。総投資額4兆7000万元(76兆円)にもおよぶ総合交通計画のお墨付きを得ているのだ。今はどう金を集め何を重点に使うかで頭はいっぱいだ。忙しくて1本1本の地下鉄路線の採算など考えているヒマはないのである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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