テクノロジー市場拡大にともない、「eアドバイザー」なる職業が急成長しているという。通常のアドバイザーやマネージャーと異なるのは、テクノロジーに精通しているという点だ。

フィデリティ・インベストメンツの調査からは、eアドバイザーによる運用資産総額が通常のアドバイザーより42%多いこと、平均報酬が24%高いことなどが明らかになっている。

デジタル化で需要拡大 アドバイザーの4割が「eアドバイザー」に

eアドバイザーの割合は、2014年にファイナンシャル・アドバイザー全体の30%に達し、さらに2016年には40%にまで伸びている。需要が高まっている背景にはデジタル社会への移行がある。

eアドバイザーはデータ管理、書類・報告書のデジタル送信、自動返信メール、テレビおよびネット会議、管理タスク、共同技術の採用など、テクノロジーによって業務の効率化を図ることで、顧客の利益を最大限に引き出すことを目標としている。

フィデリティの分析によると、通常のアドバイザーよりも富裕層(資産100万ドル以上)が顧客に多く、顧客一人当たりの運用資産が35%多い。資産家ほど効率性・利便性・利益性などへの要求が高いようだ。

ミレニアル世代の高所得層の8割がウェブサイトでアドバイザーを判断?

顧客を惹きつけ、投資意欲を促進するいう点でも、eアドバイザーと一般的なアドバイザーの差異が目立つ。

デジタル世代の代表であるミレニアル世代のうち、年間所得10万ドル(約1116万円)以上の層は週53時間オンラインを利用している。eアドバイザーは顧客とのコミュニケーションからアドバイス、分析にまで、加速するデジタル環境を活かしているのが特徴だ。また共同技術の採用にも躊躇しないチャレンジ精神にあふれている。

フィデリティの実施した調査ではミレニアル世代の高所得層の80%が「ウェブサイトが良いアドバイザーに、より好印象が持てる」と回答するなど、高質なデジタル要素が現代の消費者にあたえる影響は想像以上に大きい。

eアドバイザーの64%が映像などを用いて顧客をその気にさせるウェブサイト創りを重視しているほか、SNSを含むデジタル・コミュニケーションを通して顧客にアピールしている。

デジタル化に興味はあるが躊躇しているアアドバイザーが6割

通常のアドバイザーの60%がいまもデジタル化に躊躇し、顧客拡大のチャンスを逃しているという事実は残念だ。

デジタル化に興味をいだくアドバイザーが増えている一方で、「どこから手をつけていいか分からない」という戸惑いの声も上がっている。

そうした壁を乗り越え、「テクノロジーを賢く利用できるアドバイザーだけが、将来的に大きな成功を収めるだろう」と、アドバイザーの世界にも転機が訪れているとの見解を示した。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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