7月より仮想通貨の購入時に掛かっていた消費税が非課税となった。2016年5月に成立した改正資金決済法で、仮想通貨が「支払手段」として位置付けられた事を受け、今年度の税制改正大綱に盛り込まれていた。利用者は購入時と利用時の二重課税状態が改善され、仮想通貨の取引所を運営する事業者も手続きが簡素化する。仮想通貨の利便性は大幅に高まる見込みだ。

仮想通貨は「支払手段」

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(写真=3Dsculptor/Shutterstock.com)

従来は仮想通貨の購入時には消費税が掛かっていた。利用者は100万円分の仮想通貨を購入する場合は、108万円支払う必要があった。購入した仮想通貨で支払いを行う場合、購入商品に消費税が課税される為、二重課税の状態となっていた。

昨年5月に、仮想通貨を「支払手段」とみなすよう資金決済法が改正されたのである。仮想通貨が法律上、「支払手段」としての地位を得た為、改正大綱で購入時の非課税が決定され、7月より施行されたのである。プリペイドカードや電子マネーなども、二重課税を防ぐ観点から、購入時の消費税は非課税とされており、同様の措置となる。なお仮想通貨の売買差益については、従来通り課税される為、注意が必要である。

消費税非課税は他国の法規則に合わせた側面もある。主要7カ国(G7)で仮想通貨に消費税を課しているのは日本だけであった。それ以外でも非課税扱いとしている国が多い。また、ビットコインを中心に、実際の店舗で支払時に利用できるケースが広がっており、事実上「支払手段」としての地位を確立している事も大きい。

利用者にとってみれば、仮想通貨の二重課税状態が解消され、コスト削減となる。また、仮想通貨の取引所を運営する事業者等は消費税を税務署へ納める手続きが無くなり、事務負担が減る。利用者と事業者の双方で仮想通貨の利便性が大幅に増す事となる。

消費税非課税は大きな影響なし 市場の目はビットコイン分裂問題へ

これまで国内で仮想通貨を購入する場合は、8%の消費税が掛かっていたが、7月からは消費税のコストを考えずに購入できるようになった。ネットではこれまで税込価格で表示されていた仮想通貨の価格が消費税分安くなる事で買い場が来るとの期待も高まっていたが、7月に入っても極端に大きな変動は見られていない。非課税による利便性向上期待への買いや海外の仮想通貨市場の相場の影響がある。

仮想通貨市場は、消費税非課税のイベントをクリアしたが、次の問題が待ち受けている。ビットコインが分裂するかもしれないという問題だ。ビットコインの取引数量が増大しており、現状のプログラムの限界が来ている。性能を上げる為のプログラム変更が必要となっており、ビットコインが分裂してしまう可能性も指摘されている。分裂をした場合、ビットコインの価格に与える影響は大きい。また、時価総額首位のビットコインの変動は他の仮想通貨にも大きな影響を与える。分裂するかどうかの決断を下すXデーは8月1日とされており、注目を集めている。

消費税非課税やビットコイン分裂問題の根本にあるのは、仮想通貨の利便性向上である。ビットコイン分裂問題の決着がどのようになるかに注目が集まるが、仮想通貨の利便性は確実に高まっていく流れは変わらないであろう。( FinTech online編集部

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