「トンチン年金保険」という形式の保険が、最近注目され始めています。ますます進む高齢化社会のなかでこそ高く評価されると考えられるのが、この「トンチン年金保険」です。一体どのようなものなのか、その中身をチェックしてみたいと思います。

「トンチン性の高い年金保険」、いよいよ日本にも上陸

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(写真=Sergi Lopez Roig/Shutterstock.com)

すでに先進国中でもトップクラスの日本人の寿命ですが、今もなお、ますます長くなる傾向にあります。厚生労働省が発表した「第22回生命表(平成27年)」によれば、現在40歳の人の平均余命は、男性で41.77年、女性で47.67年です。30年前と比べると、男性・女性ともに5年以上伸びています。

しかし近年、将来の公的年金制度に不安を覚えるようなニュースもあり、老後の生活にも不安を感じている人が増えています。そんななかで話題になっているのが「トンチン年金保険」です。

日本生命は2016年、長寿生存保険(低解約払戻金型)「GranAge(グランエイジ)」を発売しました。「トンチン性を高めた」タイプの保険商品の一つで、販売成績は好調だそうです。

もともと「トンチン年金」とは、17世紀にイタリアの銀行家ロレンツォ・トンティ氏が考え出したと言われる仕組みで、名称も彼の名前に由来しています。

トンチン年金は、加入者が支払った掛け金を年金の原資とし、既定の年齢以上、その人が生きている限り年金を支払い続けるというものです。生命保険のように死亡時にお金が支払われることはないものの、長生きすればするだけたくさんのお金がもらえることになります。

アメリカなどではトンチン年金方式の保険商品は一般化していますが、日本では「早死にしてしまった場合には損をする」という点がネックとなり、商品化が進んでいませんでした。ここへ来て、改めてトンチン年金保険が注目され、それに類する保険商品が発売されたことは、高齢化社会の進展で「長生きへの備え」の切実さがますます高まってきたからともいえます。

「長生きするほど得をする」その仕組み

GranAgeは、日本での社会的ニーズに合わせて「場合によっては掛け金がまったく無駄になる」という形式にはせず、年金を受け取り始める前に亡くなった場合でも、ある程度の死亡時保険金が受け取れるようになっています。ただし、それは払い込んだ保険料の解約払戻金と同額(保険料の7割程度まで)で、その分、年金部分を厚くしているわけです。したがって典型的なトンチン年金とは言えないものの、ニーズに合った保険商品ということになります。

GranAgeでは、年金の受け取り方式を「5年保証期間付終身年金」と「10年確定年金」から選ぶことができます。よりトンチン年金に近いのは、終身で年金を受け取れる前者のほうです。

例えば、契約時50歳・払い込み満了・年金開始を70歳と設定した場合、男性で月額5万790円、女性で6万2,526円の保険金で、70歳以降、毎年60万円の年金を受け取れるようになります(開始後5年間のみは死亡一時金の支払いあり)。

男性の場合、20年間の保険料総額は約1,219万円で、女性の場合は約1,500万円となります。男性なら約20年、女性は25年で元が取れる計算で、その後は長生きすればするだけ「お得」になるわけです。

そこまで長生きするつもりはないと思っていても、いざその時になって困るのは自分です。老後の経済基盤に若干でも不安のある人なら、十分に検討する価値はありそうです。(提供: IFAオンライン

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