金融機関の商品やサービスについて執筆しておりますsayakoと申します。今回は証券会社でよく取引されている、外貨MMFの商品概要や売買について書かせていただきます。

外貨MMFの概要

外貨MMFとは外貨マネー・マーケット・ファンドの略称で、公募外国公社債投資信託に分類されます。信託期間は無期限で、高格付で短期の債券又は証書に投資します。

外貨MMFの目的は、元本を維持し流動性を保ちながら、市場金利に沿った安定的な収益率を目指すことです。1口は、1セントなど1/100通貨単位を維持する投資方針です。 ファンド保有中には管理報酬などの運用報酬がかかりますが、購入手数料と信託財産留保額はかかりません。ただし、売買代金を日本円で決済をすると、為替手数料はかかります。

外貨MMFの商品例

ファンド名はノムラ外貨MMF、ダイワ外貨MMF、ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド、ゴールドマン・サックス・米ドルMMF、ホライズン・トラスト、マルチ・ストラテジーズ・ファンドなどです。これらのファンドはルクセンブルグ籍やアイルランド籍で、これはファンド管理会社の設立地です。

通貨の種類は米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、南アフリカランド、トルコリラがあります。

代表的な外貨MMFの運用体制と投資対象

ファンドの運用には、管理会社、投資顧問会社、保管受託銀行などが関っています。投資顧問会社が投資顧問業務と運用を行い、保管受託銀行が資産を保管しています。

外貨MMFの投資対象は、コマーシャルペーパー(CP)、銀行引受手形、譲渡性預金証書(CD)、定期預金証書、OEDC(経済協力開発機構)加盟国の国債、地方債、政府関係機関債などの、短期債券です。

S&P社にA-1以上、ムーディーズ社にP-1以上の格付けを付与されている証券・証書や、S&P社にAA-以上、ムーディーズ社にAa3以上の格付けを付与されている公社債に投資します。格付がない場合は、投資顧問会社がそれと同等の信用度があると判断した場合に投資対象とします。

代表的な外貨MMFの投資方針

満期までの残存期間が397日以下の証券又は証書に投資する方針で、純資産総額の10%を超えて同一発行体の証券には投資できないという制限や、10%を超えて公認の取引所・市場で取引されていない証券には投資しないという制限があります。他に金利リスクや信用リスクを限定するため、加重平均残存期間は60日以下であるとか、加重平均残存年限は120日以下などの制限があります。

外貨MMFの分配金

外貨MMFは外貨預金と異なり実績分配です。取引日にいつでも解約でき、一定の期間を経過せずに解約したために、低い利率が適用されるということはありません。 ファンドの収益は毎取引日に宣言され、毎月最終営業日にまとめて再投資されるため、1ヶ月複利で運用できます。 分配金は外貨預金と同様に利子所得で、20.315%の源泉分離課税です。しかし外貨預金と異なり、譲渡益は非課税です。

外貨MMFのリスク

外貨MMFには、外貨ベースでの元本保証はなく、金利変動リスク、信用リスク、為替リスクなどがあります。金利が上昇すると、債券単価は下がるといわれていて、これが金利リスクです。 投資資産は分別保管されているので、外貨MMFを販売会社や運用会社が破綻しても、一般債権者と同様に扱われるということはありません。

外貨MMFの取引

証券会社や銀行で購入でき、10通貨単位から申込みができ、追加購入と換金は1口単位です。取引日は通貨の種類によって異なり、販売会社のサイトで確認できます。管理会社、投資顧問会社、販売会社など、運用に関連している会社の休業日は、取引が休みになります。

購入時と換金時ともに、受渡日は翌取引日です。たとえば換金代金は、約定日の翌取引日に支払われます。

当日の約定になる注文締め切り時間は、午後1時~2時頃までであることが多いです。外貨MMFの保有中、残高は口数で表示されますので、単位に注意してください。

外貨MMFを保有していると、その売却代金を、外貨建債券などの購入代金に充当できます。外貨建債券の受渡日は、約定日を含めて4営業日後なので、外貨建債券の注文日に、外貨MMFの取引が休みであっても、購入代金を充当するのに間に合います。

外貨MMFに関連するサービス

外貨MMFの自動買付サービスを提供している証券会社もあります。これは、外貨建債券の償還金などが支払われたときに、自動的に外貨MMFを買いつけるサービスです。 複数種類の通貨がある外貨MMFのファンドでは、通貨を変更するスイッチングができます。もっとも販売会社によっては、スイッチングを取り扱っていないところもあります。他に外貨MMF関連のサービスには、積立サービスがあります。

外貨MMFは投資信託の中では、為替リスクを除いたリスクを抑えた設計になっています。投資方針や投資対象は、外貨MMFの商品ごとに異なりますので、取引前に目論見書を確認してください。

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