2017年1月から個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)の加入条件が緩和され、20歳~60歳であれば、原則として誰でも利用できるようになった。資産形成は、若いうちから始めることで、さまざまな恩恵が期待できる。特にiDeCoは税制面でも非常に優れた制度であり、早期に始めることで更なるメリットが期待できるだろう。今回はiDeCoを若いうちから始めるべき理由について解説する。


iDeCoの税制メリットを改めて紹介

(写真=turgaygundogdu/Shutterstock.com)
(写真=turgaygundogdu/Shutterstock.com)

iDeCoは、掛金が全て所得控除の対象となるのが非常に魅力的だ。また、運用益も全額非課税となる。運用益が非課税になる制度として、同じく国が推進するNISA(少額投資非課税制度)があるが、こちらの場合は、非課税期間が5年間に限定されている。

さらに、積み立てた資産を受け取る際にも税制優遇装置が講じられている。受け取り方法は、年金として5年~20年の間に分割して受け取る方法と、一時金として一括で受け取る方法を選ぶことができる。

年金として受け取る場合には「公的年金等控除」が適用される。一時金として一括で受け取る場合には「退職所得控除」が適用され、勤続年数によっては給付額の大部分を非課税にできる。ただし、企業から多額の退職金を受け取ったときは注意が必要なので、その際は専門家に相談して頂きたい。


「機会損失」の考え方とは

投資の世界には「機会損失」という考え方がある。簡単に言えば、投資をするかどうか迷っているうちに利益を得られる機会を逃したということになる。

この考え方は、iDeCoを利用しようか迷っている人にも当てはまるだろう。iDeCoは税制上非常に優遇された制度であるほか、毎月積み立てるという性質上、長い年数をかけるほど時間分散効果が働きリスクヘッジにもなる傾向にある。

例えば、会社員AさんがiDeCoに加入することによって、毎年5万円分の所得税および住民税が軽減されるとしよう。Aさんが今すぐiDeCo加入を決断すれば、10年間で50万円分の所得税および住民税を節税できる。反対に、10年間加入しなかった場合は、加入した場合に比べて50万円分を損している(=機会損失が発生している)というわけだ。

上記は極端な例かもしれないが、iDeCoに加入することによってメリットを受ける人にとっては、iDeCoを利用しない期間は、丸々機会損失の期間であるともいえる。

また、金融や税金の知識を若いうちに身につけておくことで、その後に知識を活かす機会が多く訪れる可能性もある。知識が深くなればなるほど、資産運用で利益を出す可能性も大きくなるだろう。単純に資産を殖やす機会を失うということだけではなく、若いうちに重要な人生経験を積む機会を失うということでもあるのだ。

資産運用なんてまだ分からないという場合、まずは預貯金などの元本確保型商品でiDeCoを始めてみるのも手だ。運用対象が全額預貯金であっても、所得控除のメリットは丸々得ることができるからだ。iDeCoは運用方法を自分で選択できるため、資産運用の知識がある程度深まってから投資信託などに切り替えることが可能だ。もし、まだiDeCoに加入していないのであれば、すぐにでもiDeCoへの加入を検討してみてはいかがだろうか。


iDeCoを積極的に利用しよう

iDeCoは、20歳~60歳の方であれば原則ほとんどの方が利用可能な制度だ。そのなかでも、特に高所得者はiDeCoを積極的に利用すべきといえるだろう。高額所得者は適用される所得税率が一般的に高いため、掛金が全額所得控除となるメリットの恩恵が相対的に大きくなるからだ。

さらに、iDeCoで積極的な資産運用を行うことで、運用益が非課税というメリットを十分に活かすことができる。所得控除の効果が大きい分、より積極的にハイリターン・ハイリスクのポートフォリオを組んでもよいだろう。

もちろん、積極的な資産運用を行わずとも、まずは単なる「積み立て」の手段として利用してもよい。iDeCoは、初心者にとっても非常にスタートしやすい投資方法だ。機会損失の考え方を少しでも意識し、手遅れにならないうちに決断して早めに行動することが大切だ。

※当記事は2017年6月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(提供: 確定拠出年金スタートクラブ

【オススメ記事 確定拠出年金スタートクラブ】
確定拠出年金の始め方 運用開始までを簡単解説!
退職金に大きな差が出る確定拠出年金とは?
確定拠出年金、金融商品にはどのような種類があるの?
「税金を軽減」したい会社員が知っておきたい○○とは?
会社員でも税負担を減らす制度、あなたはいくつ知っていますか?