2018年2月に開催される予定の韓国「平昌五輪」。仁川空港を出発する「五輪KTX」の建設が急ピッチで進められているが、ソウル市内の始発となる龍山駅が飽和状態になるとの見方が強まっている。

二転三転する鉄道計画

韓国経済
(写真=筆者)

冬季五輪の誘致に取り組んでいた五輪招致委員会は、国際オリンピック委員会(IOC)に提出した開催計画で、仁川空港と平昌を68分で結ぶKTXを建設すると発表した。

しかし五輪開催決定の翌2012年に撤回している。路線新設には10兆ウォン(9900億円)の予算が必要で、五輪後の需要が少ないとして、仁川空港から江原道原州(ウォンジュ)市までは既存の路線を利用し、原州市と江陵(カンヌン)市を結ぶおよそ120kmを新設。仁川空港と会場を93分~107分で結ぶ予定である。

首都ソウルと東海岸を高速鉄道でつなぐ構想は五輪以前からあった。国土海洋部(現・国土交通部)はソウルから江原道庁がある春川(チュンチョン)市を経由して、東海岸の江陵市に至る高速鉄道を検討していた。韓国交通研究院が国土海洋部に、同路線の経済妥当性を報告したと2009年10月26日付の江原道民日報は伝えている。

方針が変わったのは2011年のことである。韓国政府が平昌五輪の招致に際して、IOCに提出した内容に沿って計画を変更したが、その後、現在進められているルートへと二転三転した。

現在進められているのは、仁川空港からソウル駅は空港鉄道の線路を経由し、ソウルから江原道原州市は京畿線と中央線を利用、原州から平昌郡の珍富(チンプ)を通って江陵に至るルートである。

飽和状態のソウル駅