空き家が放置され、社会問題化
全国で空き家が増えている背景に核家族化の進展や都市圏への人口流入の増加、住宅の供給過剰等があげられます。それに加えて相続対策がされてなかったため住宅管理者が不在となることでこうした空き家の放置が促進してしまい社会問題化しています。今使わないから空き家にしておいても誰かに迷惑かけることもないという安易な考えから対策を打たなければ大きなリスクにさらされることになります。
では、このように放置された空き家に対して適切な管理が行われないまま老朽化が進むことで所有者が負うリスクはどのようなことがあるのでしょうか。そして考えられるリスク解消や資産価値を維持するためにALSOKや東急リバブルなどが空き家管理の欠かせない問題へと対処するビジネスを行う会社がでてきました。
全国の空き家の現状
高齢者が施設などへ入居することで自宅に誰も住まなくなるといったことや、持ち家を既に所有しながら実家を相続したものの遠方なので空き家の状態にせざるを得ないといったことが住宅を空き家化してしまう典型的事例となっています。しかし人が出入りせず放置された空き家住宅は、周辺環境の悪化の温床や災害や犯罪を引き起こすことになりかねません。
総務省の住宅・土地統計調査によると、この20年で空き家の数が倍増しているという結果がでています。全国の空き家の総数は約750万戸を超している現状で、そのため昨年度から国土交通省は対策を本格化し、空き家の放置を解消するための選択肢として除却、活用、管理をあげ、このうち活用と管理を重点的に取り上げてそれらを促す指針づくりや補助事業を実施しています。対策としては所有者が賃貸物件として貸し出しやすい環境を整備したり、空き家管理業の育成に向けるなどを進めています。
その一方で空き家の増加の要因は、人口減少や少子高齢化に大きく関わっていると考えられているため、不動産や住宅分野だけにとどまらない多様な関係性の追求とともに長期的目標として推進されるべき課題と言えます。
業界内で模索中空き家管理のビジネス化
空き家の放置を解消するための選択肢として焦点を絞った活用と管理という選択肢について、活用は主に賃貸住宅としての需要を喚起する方向性を模索し、管理については空き家に特化した管理サービスが広がりつつあります。
しかし建築・不動産業のほかにも警備業や造園業など事業主体が様々で、サービス内容や料金体系も一貫性がありません。そしてその業務を規定する法律も今だに存在していないことから国交省は同事業を通じて、新規参入を促すために環境整備を行ったり事業者が守るべきルールの整理を行う考えです。
空き家管理コンサルサービスの中で、民間事業者などで構成した団体が消費者保護、業界コンプライアンスの増進など複数の取り組みを実施することが望ましいと言えます。簡単にビジネスとして成り立つものではない中、地方エリアは、通常の不動産業務だけで収益を上げることが困難なケースが多いのも現状です。空き家の利活用に向けた、その入り口となる管理コンサルは管理する会社も管理される所有者にもニーズが高いサービスと言えます。