新日鉄住金が国際競争に勝つには
2011年2月、グローバル化が進行する中、国際競争を勝ち抜いていくため、住友金属工業と合併しました。合併の理由は国際社会での交渉力をつけるためと言われました。しかし、合併後も決して順調な道のりとは言えず、合併当時は円高が問題になっていましたが、今では慢性的な円安に頭を痛めており、同社に不利な為替相場が続く中、どの様に海外企業との競争力を付けるかが当面の課題となっています。合併から数年間で株価が上昇しており、クレディスイス社による格付けが一段上がったものの、実際の経営状態はさほど変わっていないため、今後どの様に対処するかが注目される所です。
インドの鉄道設備を受注する新日鉄住金
新日鉄住金が国際競争力をつけるには、世界中の鉄鋼業界に置ける同社の名声を上げる必要があります。そのため、色々なプロジェクトに日々取り組んでいると言われます。同社のプロジェクトで目立ったモノとして、インドの鉄道敷設が上げられます。具体的には、今回、新たに作られる鉄道(インドの首都であるデリーから商業都市ムンバイに向かう総延長約1500kmの貨物専用線)のレールに同社の製品が用いられます。もう工事が着工しており、2017年には完成する予定です。
しかし、計画通り完了するには、2016年中旬までに延べ12万トンに及ぶレールを製造しなければなりません。同社のレールは精度が高いだけでなく、圧延後に熱処理を施すことにより、レール頭部の硬度が上昇するため、磨耗しにくくなっており、耐久性に富んでいるため、今回の新線に置いて採用が決まったと言われます。また、溶接を始め敷設時の作業もしやすいため、鉄道設備の工期が短縮できるのもメリットであって、インドの鉄道局が新日鉄住金を選んだ本当の理由と言われます。同社のレールは実績が高く、これ以外にも様々なインフラ設備を受け持つ予定です。
原材料高に負けない交渉力
新日鉄住金が国際競争に勝つためのもう1つのポイントは交渉力です。海外に拠点を移す等の経営面の不合理化だけではなく、価格競争に負けない様にするための国際社会に置ける交渉力が求められます。実際問題、鉄鉱石の市場価格が10年前の約10倍に上昇している等、同社を含め鉄鋼業界全体の価格交渉力が落ちているのか、多くの同業者が全く不可解な価格での購入を強いられているのが現状です。
その差を縮めるには、交渉力を付ける必要があります。企業規模が大きいほど大量に購入するせいか他業者と交渉しやすくなるため、前回、住友金属工業と合併したことにより多少は価格競争力が上昇している様です。しかし、アルセロール社、ミッタルスチール社等による寡占状態が続いているのか、未だに他のメジャー業界との交渉力の差が埋まっていないと言われます。最近の新日鉄住金は機材納入時に競争入札を導入する等、公平な態度を取ってアピールしたい所ですが、あまり実感が沸いていないのが実情です。