輸送を効率化する巨大貨物船「バーレマックス」

日本では鉄鉱石の採集量が少ないため、その大半を海外から輸入する必要があります。日本企業が競争力を上げるには輸送コストを低下する必要があります。実際の所、輸送時に生じる輸送コストが競争力を高めるための最大のネックとなっています。そのため、今回、新日鉄住金は世界最大級の巨大貨物船「バーレマックス」を受注しました。当船舶は2011年にバーレ社から作られたブラジル製のタンカーであって、その輸送量は40トンです。これにより、一度に今までの2倍の鉄鉱石が輸送可能になるため、輸入時に必要なコストが大幅に低下するはずです。

ただし、当船舶は浸水が深いため、日本では大分港にしか寄港できないのが難点です。そのため、まず大分製鉄所用の鉄鉱石をおろした後、茨城県・千葉県にある港に寄港する方針です。2014年4月に鹿島港に初めて入港した際も途中の大分港で積み荷の一部をおろす必要がありました(そのために大分に拠点を構える住友金属工業と合併したと言われます)。コスト削減には少しでも効率化を進める必要があるため、今後、鹿島港の浸水を深くする等、様々な対処が求められます。


最大の懸案は為替相場

最初に述べた様に、新日鉄住金の最大の懸案は為替相場です。同社は原材料を輸入するため、円安を否定的に見る傾向があります。円安になることにより、確かに競争力が増加します。しかし、原材料を調達するための諸費用が高騰するため、あまり円安が好ましくありません。実際の所、1ドル100円になっただけで事業計画を見直す必要がありました。また、少子高齢化も売り上げを減らす要因と考えている様です。同社の三村明夫名誉会長は人口減の問題に対し、政府に対して色々な提案をしており、纏まった提言ができているものの、即効性が薄いため、忍耐強く続ける必要があります。

【関連記事】
産業競争力強化法施行に伴う経済波及効果と関連銘柄まとめ

photo credit: Hiroshi SATOMI via flicker cc