シーメンスの今後の経営戦略に与える影響

GEによるアルストム買収により、GE・アルストムのエネルギー事業規模は約7兆円に達し、シーメンス約3兆円、三菱重工(三菱日立パワーシステムズ)約1.2兆円を引き離すことになりました。また、シーメンスや三菱重工にとっては、発電所の新設需要のあるアフリカ、中東で顧客基盤のあるアルストムがGEの手中に入ったことは、大きなディスアドバンテージです。GE・アルストムに対抗するため、シーメンスは、エネルギー事業において、米国のシェール関連事業への注力、三菱重工との協業などを経営戦略の内のひとつとして実行していくことが考えられます。シーメンスによる三菱重工との協業については、三菱重工側は今回の失注の後、「業界をリードする他の企業との提携を視野に入れ、引き続き事業の伸長を図っていく」としていますので、十分に現実味のある経営戦略のひとつです。

まとめ

シーメンスは、2005年に携帯電話、2006年位通信ネットワーク、2009年位パソコンなど非中核事業を分離、売却し、2011年には原発事業から撤退を表明しました。現在、シーメンスは、成長事業のエネルギー、医療関連事業に注力し、企業買収を積極的に展開してきました。7月8日のブルームバーグの報道によると、シーメンスはエネルギー、医療関連事業に注力するために、病院データベース・情報技術部門の売却を検討しています。評価額は10億ユーロ(約1400億円)を超える可能性があると、ある関係筋は指摘しています。また、シーメンスは、微生物学部門の売却を検討しており、売却額は3億ドル以上(約300億円)と見られます。

Photo from Marine Current Turbines