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三菱商事、異例の自社株買い!

昨年末の75億円に引き続き、2014年5月、三菱商事は自社株600億円を買い戻すのを発表しました。一般的には「手元資金に余裕があるため、自社株を大量に購入しました」と言われますが、しかし、自社株を購入するのは決してよくある話ではなく、デフレ時は現金を保有したまま、インフレ時は他社株を購入するのが基本ですから、今回の同社の行動は異例の事態かもしれません。

しかし、今の様なスタグフレーション時の場合、現金は価値が目減りするリスク、他社株は下がるリスクを伴います。一方、海外では引き続き投資も行っており、オーストラリアの穀物事業、ヨルダンのメガソーラー事業等に乗り出しました。ただし、国内に置ける投資の方は消極化しており、そのぶん、自社株及びグループ株購入を中心とする行動に出ている点が今回の三菱商事の特徴です。


オーストラリアの穀物企業を支配

古今東西、豊富な余剰資金を持て余した企業は海外に事業を広げる業者が多い模様、三菱商事も決して例外的存在ではありません。2014年6月、同社はシンガポールの「オラム・インターナショナル社」の子会社、オーストラリアの「オラム・グレインズ・オーストラリア社」を約6400万ドルで購入するのを発表しました(正確にはオラム・グレインズの約80%をオラム・インターナショナルから購入)。オラム・グレインズは穀物を主な業務としており、年間100万トン以上の穀物を扱っている大企業です。人口が増え続ける東南アジア・オセアニア一帯では穀物の需要が緊迫化しており、それに伴い業績が伸び続けております。

また、オラム・グレインズはオーストラリアのニューキャッスル港に置ける輸出施設企業の30%以上の株を保持しているため、今回の事例により、三菱商事は同港に置ける主導権も網羅しました。これ以外にも三菱商事は穀物集荷会社である「リヴェリナ社」との関係を強化して、地域一帯の穀物の安定供給体制を構築してゆく方針です。