税務調査、と聞くと、「脱税?」「重加算税?」などと、ネガティブなワードが浮かんでしまいます。また、「それは会社に対してのものであって、個人には関係ないでしょ?」と思う方もいるでしょう。ただ、これから紹介するケースでは、個人に対しても税務調査が入ることがあるのです。そこで、個人に対する税務調査の実態と対策についてお話します。


そもそも、個人に対して税務調査は行われるのか?

先にも述べたとおり、税務調査は会社=法人に向けて行われることがほとんどであって、個人に対して行われることは少ないです。でも、少ないながらも行われているという実態があることになります。では、どういう目的で行われるのでしょうか。

一番多いのが、相続税に関するものです。相続財産の額が巨額になればなるほど、税務調査が入る確率は高くなります。次に多いのが、個人事業主に対する税務調査です。また、どちらのケースにおいても、これから話すように、預貯金において大きな金額が動いている場合には、税務調査が入る可能性は高くなります。

つまり、税務署は「これだけの金額が動いているのには、何か理由があるからに違いない。その理由を明らかにしたい」と思い、調査をするのです。以下に述べることに思い当たる節がある場合、対策を考えることが急務になるでしょう。では、具体的にはどんな動きがある場合、調査が入ってしまうのでしょうか。いくつかのポイントに分けてお話します。


被相続人が死亡する直前の預金の引出

払い終わっていない入院費や、葬儀の費用として、被相続人(親などの親族)が亡くなる直前に、まとまった額の預金を引き出す、ということは往々にしてあることです。ただし、金額によっては、「相続財産を減らす目的がある」とみなされて、税務調査の対象となることがあります。まとまった金額を引き出した場合は、具体的に何のために引き出したのか、説明できるようにしておくといいでしょう。病院の領収書や葬儀の経費の領収書をまとめておくのもひとつの手段です。