バンク・オブ・アメリカがFinTechスタートアップと提携し、法人向けのAI(人工知能)売掛金決済サービス「Intelligent Receivables」を開始する。

自動的に送金人と関連性データを識別し、顧客のERPシステム(社内データベース・システム)にアップロードすることで、決済不完了などの問題を防止するソリューションだ。

決済取引規模の大きな企業のコストや労力を削減

バンカメのWebサイト上での発表によると、新たなサービスは決済取引規模の大きな企業を対象としたソリューションだ。入金に伴う「ストレート・スルー・プロセッシング(売買成立から決済までの過程をデジタルで行う処理法)」の著しい改善に役立つと期待されている。

大手企業による膨大な決済量の処理では、送金と送金情報が切り離して送信される、あるいは送金情報が消滅するといったケースが生じやすい。その結果、決済不完了といった問題に発展し、コストや労力のかかる調節プロセスを余儀なくされる。

バンカメはこうした問題の対応策として、スタートアップHigh Radius のAIソフトを導入。送金情報が見当たらない場合、関連性のある情報がeメールやEDI(電子データ交換)、送金者のウェブポータルなどからも摘出される。

自動的に識別ができないケースでは、着金側が補足情報を提供したり調節を行える仕組みになっている。

バンカメ「企業間の売掛金決済の新たな基準」

これにより、例え送金と送金情報が別々に送信された場合でも、決済が滞りなく完了しやすくなる。総体的にはコストや売掛金回転日数(DSO)を削減し、資金繰り計画や顧客経験の向上につながると期待できる。

バンカメの国際取引サービス部門責任者、ロドニー・ガードナー氏は、AI、機械学習、光学式文字認識(OCR/活字の文書画像を文字コード列に変換する仕組み)など、「先端技術を融合したソリューションが、企業間の売掛金決済に新たな基準を設定する」と述べている。

バンカメに技術を提供したHigh Radiusは、2006年以降、テキサスを拠点に活動するSaaS企業だ。クラウドからAIまで、様々な技術を活用した売掛金回収ソリューション を開発している。

チューリッヒやNEC、スターバックス、Adidas、エスティローダー、P&G、ケロッグなど、国際大手を多数顧客に持つ 実力派だ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

( FinTech online編集部

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