3Dプリンター市場の2強とは
先端技術専門の米系調査会社ラックスリサーチによると、急成長を続ける3Dプリンター市場は、2025年までに現在の4倍の120億米ドルに達するといわれています。最近は安価な家庭用製品の台頭などが度々メディアでも話題になりますが、ラックスリサーチのレポート“How 3D Printing Adds Up: Emerging Materials, Processes, Applications, and Business Models“(3Dプリンターの活用:素材/プロセス/アプリケーション/ビジネスモデル)では、航空宇宙、医療、自動車、リテール向け商品、建築、エレクトロニクスなど、幅広い産業分野での導入が市場拡大の要因になると記されています。
内訳は、プリンター市場が32億ドル、3Dプリンター用素材分野が20億ドル、製造された部品の市場が70億ドルとなっています。現在市場は、米国の3Dシステムズ、ストラタシスの2社で世界全体のシェアの70%を占めています。今回はこの3Dプリンター企業の2強、スリーディー・システムズとストラタシスを徹底比較してみたいと思います。
ここ3年で急成長した3Dプリンター
3Dプリンターとは、コンピュータで作成した設計データをもとに、樹脂や金属などの材料を加工して、複雑な構造の立体物を造形する装置です。材料をノズルから空間に吐出し、金型や専用の工具を使うこともなく、あたかも印刷するかのように簡単に立体造形物を実体化・可視化できます。3Dプリンターは過去20年間、限られた製造分野や現場でのみ使われていました。しかしここ3年ほどで急成長し、建築、医療、工業、教育の分野だけでなく、個人向けの趣味や物づくりの分野でも急速に広がってきています。
ストラタシスのデイビッド・ライス最高経営責任者(CEO)によると、急成長の要因は、機器の精度向上や低価格化、プリンターの仕様がシンプルになり簡単に扱えるようになったこと、そしてオバマ政権による後押しがあったことをあげています。この3つの要因が重なって、いまだかつてない大きなチャンスを生み出したのだとしています。