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パートタイマーが急増する米国雇用状況の姿とは

FRB(Federal Reserve Board)連邦準備制度理事会は公定歩合、支払い準備率の決定などの金融政策の策定を行う7人の委員による会議をいいます。その下にはやはりFRBの頭文字を取った連邦準備銀行、FOMC(連邦公開市場委員会)があり、アメリカの銀行を監視するシステムのサミットに位置しています。

ジャネット・イエレンFRB議長の金融政策の柱は「マクロ・プルーデンス」です。デリバティブ取引などの新しい金融技術、ヘッジファンドなどの機関投資家の出現が、金融取引を複雑化しており、金融システムリスクの把握、分析が困難になってきました。そこで、金融取引の安全性と実体経済との乖離を図る分析手法を探っているのです。日々様々な発表を行うイエレン議長の文言の中には、米国内の雇用統計がプラス局面を維持していることを取りあげた、と思えば長期失業は深刻な問題だ、と警告するなど、米国雇用状況が一筋縄ではいかないことを訴えています。つまり、本音をいえばFRBはインフレが先か、雇用緩和策が先かというジレンマに陥っている事を吐露しているといってよいでしょう。


住宅需要の頭打ちから見る、米国労働市場の本質

外から米国経済を見た場合、伝統的な金融、航空やケミカル、石油、食品産業に加え、インターネット関連産業(ICテクノロジー、プロバイダー、アプリケーションなど)、宅配(amazonなど)が業績を伸ばしています。しかし、これらは経営者が企業規模を拡大し、市場を独占することで投資家に満足感を与え、株価上昇をもたらすことはあっても、ここの労働賃金に投下されることにはなりません。

民主党政権は「最低賃金$7.25→$10.10」移行の法案を上院で提出しましたが、2014年3月30日の採決で否決。共和党は「最低賃金上昇よりも、長期失業者削減のための雇用創出が先」と譲らなかったのです。アメリカ経済の動向は住宅需要が内情を的確に示しています。住宅ローンは様々な金利商品があり、雇用数が増加したとしても、単なる転職者が多ければ雇用統計は求人増を繰り返すだけになるわけです。