「スマホとアプリだけで、安全かつ低コストなコンタクトレス決済を実現する」というパイロット試験を、マスターカードがポーランドで今秋実施すると、Finextraなど欧米メディアが報じた。
スマホやタブレットによる決済ではソフトウェアの不正使用防止のために、ドングル(小型の装置)を端末に差し込んでカードを読み取るプロセスが主流だが、最高50ポーランド・ズロチ(PLN/約1538円)までのコンタクトレス決済を、ドングル不要で処理するという小企業向けの試みだ。
「特殊なセキュリティー」でドングル不要のコンタクトレス決済を実現?
ドングルによるスマホ決済は、店舗内・屋外の両方で安全に利用できるという利点がある。電話回線が必須の従来型の決済端末より遥かに便利なものの、こうした装置を必要としない安全なモバイル決済が可能になるのであれば、それに越したことはない。
マスターカードの試みは、ポーランドの決済サービス会社、エラヴォン・ファイナンシャル・サービシズ やモービーウェイブ などと提携し、「特殊なセキュリティー」を用いてドングル不要のモバイル・コンタクトレス決済を実現するというものだ。
実験にはサムスンのスマホが使われる。特定の機種に限定するのではなく、「サムスンのあらゆるスマホで実験が成功するように」との意気込みを、グローバル・アセプタンス・アンド・ソリューション部門のヴァイスプレジデント、ジェームス・ヒック氏は 見せている。
革命的な商品・サービスで小事業者の成長を支援
ポーランドで流通しているコンタクトレスカードは、通常のカードの75%以上に値する2940万枚。マスターカードがポーランドで実施した調査によると、61%の回答者が「モバイル決済を小売店など好きな場所で利用したい」と答えている(PYMTS.COMより )。
しかしポーランドのキャッシュレス決済ファウンデーションの調査からは、ポーランドの起業家の36%は「コストが高過ぎて、キャッシュレス決済サービスを諦めざるを得なかった」ことが分かっている(Finextraより)。
エラヴォンのマネージャー、ラファル・ゴレビエウスキー氏は、マスターカードとの実験が将来的な実用化につながれば、「決済プロセスの円滑化やサービス加盟店の増加、さらにはコストと時間の節減に貢献する」と、多大なる期待を寄せている。
ヒック氏はこうした取り組みが、「小事業者の成長を促すための道筋を、今後も共に切り開いてして行く」と語った。
同様のサービスが他国で導入される可能性については、現時点では未明だ。FinTechの潮流に乗り、革命的な決済エコシステムの開発に乗り出しているマスターカードだが、各国・地域によって市場の需要は異なるため、地域に特化したアプローチが必須となると強調している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)
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