Googleがモバイルおよびオンライン決済のスピードアップを図る目的で、商業ビジネス事業者へのクレジットカード認証情報の提供を計画していることが明らかになった 。

新サービス「Pay With Google」では、自社の保有する何百万人分ものクレジットカード認証情報へのアクセスをビジネス事業者に許可することで、決済プロセスに要する時間が大幅に短縮される。テスト運行では「一部の小売業者の売り上げが3.5倍アップした」と報告されている。

「スマホでの決済は面倒くさい 」という消費者の不満を解消

この計画については2017年5月、シカゴで開催されたソフト開発者向けカンファレンスで、Googleのコマース・パートナーシップス責任者、ジャック・コナー氏が明かした。

「Pay With Google」はGoogleの決済APIを通し、ビジネス事業者側が安全に読みこんだカード認証情報を決済ゲートウェイ(ネット取引向けカード決済サービス)やプロセッサに配信し、通常の決済処理を実行する仕組みだ。

Android Pay の決済サービス、Google Chrome、Google Playアプリストア、You Tubeなどの利用から収集されたGoogleユーザーのカード情報を活用することで、ネットショッピングの購入経験をさらに簡潔化し、売上増につなげるという発想である(デジタル・トランザクションより )。

スマホとインターネットの普及により、モバイル・ショッピングが身近な存在になった現在も、「スマホでのネットショッピングは手間がかかる」という理由で、あえてモバイル・ショッピングを避ける消費者も多い。

コナー氏によると、「ネットショップの新規利用者が初めて購入で画面をタップする回数は、平均120回」にもおよぶという。その結果、購入が未完了に終わるケースも珍しくはない。

Amazonの簡単決済「1-Click」が成功例?

決済プロセスの円滑さが消費者の購買意欲にどれ程影響するかは、1-Click決済の導入が売り上げを飛躍的に押し上げたAmazonの例を見れば分かる。

Amazonはカード情報を含む支払い方法や頻繁に利用する届け先の住所を設定しておくと、1クリックで注文と決済が同時に完了するサービスだ。ネットで何か購入するたびに支払い情報を入力するという消費者の手間を省き、売り上げに大きく貢献している。

このサービスではAmazonに登録されている顧客のカードおよび個人情報が、直接決済に利用される。

コナー氏は新サービスの導入を「あくまで売り上げに貢献するため」とし、提携しているVisaやマスターカードのモバイル決済サービスに対抗するものではない点を強調。「決済市場への参入の意図はなく、提携企業との協調を望んでいる」と語った。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

( FinTech online編集部

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