大阪都心のオフィスビル空室率も9%以下に低下
大阪都心でもオフィスビルの空室率が低下しており、ある調査では、2014年6月には8.89%(前月比-0.24%)と9%を下回りました(注:大阪では東京と比較して空室率が高い)。再開発中の大阪では数多くのオフィスビルを急ピッチで建設していますが、梅田地区最大級の「グランフロント大阪」では早くも三菱電機の入居が決まる等、同年8月にも全体の60%以上が埋まる見通しです。大阪の実勢地価が反転しましたのが2011年、公示地価が反転したのが2014年です。(東京と異なり)公示地価の方が高いもの、賃料が上昇に向かう兆しがあらわれています。
その要因として、東京に本社を持つ企業が大阪支店を開設したり、東京に支店を持つ海外企業が大阪支店を設立したり、企業の支店が増えている点にあります。その一方、大阪に本社を持つ企業も増加しつつあります。しかし、あまり賃料が高くなると空室率が増加する可能性も考えられます。
空室率を減らすための新サービスも要因
空室率が低下しているのは、今までにない新しいサービスの存在が要因として挙げられます。オフィスビルでは、賃料の3ヶ月~6ヶ月、東京都心では賃料の9ヶ月~1年に相当する保証金(敷金礼金と異なり退去時に返却される)が発生しますが、これが入居者にとって負担になります。そのため、日本商業不動産保証と言う企業では、入居者と不動産会社の間に入り、保証金の半額を支払う代わりに、賃料の0.25ヶ月ぶんを年間手数料として入居者から受け取る「保証金半額くん」を始めました。これにより、入居時の負担は確かに軽減します。
また、ビルによっては不動産会社側が保証金を支払う所もある様です。また、「保証金半額くん」サービスは、万が一、入居企業が破綻した時、入居者に代わって現状復帰費用を負担していますから、ビル会社にとっても損害保険的意味合いがある様です。日本商業不動産保証も損害保険会社とそのための契約を結んでいます。もともと外食企業向けに作られたサービスですが、ベンチャー企業、更には大手企業でもお世話になる所が増えてきました。既に100件の契約をしており、今後も増え続けると思います。今後は地方都市でも「保証金半額くん」を開始する方針です。
第二次バブルを心配する必要はない
空室率が低下していることにより、第二次バブル、及び、その崩壊を心配する人がいるかもしれません。しかし、その心配は無用です。バブル経済では空室率が低いだけでなく賃料もうなぎのぼりでしたが、今は賃料の伸びに関しては年間1%程度、空室率だけ低下しているのであって、バブルに陥る危険性がありません。と言うのも、廉価でなければ入居者があらわれないからです。前述の「保証金半額くん」が存在しているのも、そのためです。
むしろ、空室率が極限まで低下して、オフィスビルそのものが不足するケースが考えられます。この場合、賃料を高く引き上げた所だけ空室が残るため、困った人は郊外、及び、地方都市に流れます。その結果、郊外の不動産状況が一変するでしょう。むしろ伸びるのは郊外(江戸川区・足立区)と思います。東京23区のあまり人気がなかった所のオフィスビルが活性化する可能性が高いでしょう。
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