SiriやAlexa、OK Googleなどの身近になりつつある音声認識技術で、「人間には聞こえない超音波」によって、音声入力コマンドを誤動作させる「ドルフィン・アタック(Dolphin Attack)」が注目されつつある。最近、中国の研究者が新たなセキュリティに関する危険性の研究結果を発表したのだ。

可聴域を超えるコマンドというと犬笛などを思い起こさせるが、音声認証や生態認証といったバイオメトリクスの分野におけるセキュリティはどのようになっているのだろうか。

音声認識はもっとも普及している生体認証システム

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(写真=HBRH/Shutterstock.com)

冒頭の音声認識システムは、いつの間にかもっともポピュラーで身近にある生体認証システムとなった。もちろんSiriやAlexaなどがその最たるものであり、搭載されている機械がスマートフォンなど身近にあるため、急速に普及したと言える。

声(声紋)による個人認識が可能になったのは、声による周波数の違いを認識する技術が確立したからである。例えばSiriでは、初期登録時に自分の声で何度か声を吹き込み、その情報を利用して判別を行う。本人以外が「Hey, Siri」と言ってもiPhoneが反応しないのは、個人の発する声の周波数を認識するためである。

例えば風邪をひいたときや、加齢によって声質が変わった場合はどうなのかという疑問があるが、これは呼び出し時のアクセントを認識しているため、大きな問題とはならない。

反面、ICレコーダーで録音された声に反応するケースはほとんどない。声の周波数などが、録音されると根本的に変わってくるからである。しかしこれを将来ハイレゾ技術などにより完全にコピーし、まったく劣化の無い音声情報を使った場合どうなるかについてはあまり議論されておらず、潜在的な危険性はあると考えた方が良いだろう。

指紋認証も普及しているが、ある意味最も危うい