会社では、いろいろな役職・立場の人が働いています。例えば、「部長」や「課長」を英語で何というのかなどを知っておくことは重要です。万が一間違ってしまえば、相手に恥をかかしてしまうこともありますから。また、「お局さま」や「御曹司」なども、英語で何というか、知っておくといいでしょう。

(本記事は、デイビッド・セイン氏の著書『 「おつかれさま」を英語で言えますか? 』KADOKAWA(2017年5月13日)の中から一部を抜粋・編集しています)

(1)会社員
office worker

(画像=Webサイトより)
(画像=Webサイトより)

ネイティブが自分の職業を言うとき、「会社員です」のようにあいまいな言い方はせずに、I’m an engineer at a computer company.(コンピュータの会社でエンジニアをしています)のように具体的に言います。一般論を言うときは、office worker や businessman/ businesswomanを使います。

(2)部長
department head

部長は、日本企業での昇進の一つの目安のようです。役職はその企業規模により異なりますが、およそどの会社でも「部長職」は存在しています。部長はdepartment head、部長補佐は assistant department head。アメリカでは vice president が副社長などの意味だけでなく、部長や課長を指すことも。

(3)課長
vice president

日本語に近い訳だとsection manager ですが、それだとアメリカではあまり偉くないイメージ。反対に「副社長」と訳されることの多いvice president はアメリカにたくさんいて、vice president of accounting/production/sales(経理/製造/営業課長) などが、日本の課長に近いでしょう。

(4)正社員
official employee

「正社員」は日本独自の概念。そのまま「正規の社員」としてofficial employeeでも、なんとか伝わりますが、unofficial employee(正式ではない社員)も存在しているようで誤解を受けるかも。「福利つきフルタイムの社員」で、full-time employee with benefits なら日本のいわゆる「正社員」に。

(5)先輩
older guy at work

日本語の定義  会社などの組織内で先に入っている人。
「先輩」のように自分より先に入った人に対し、親しみの気持ちを込めた呼び方は英語にはありません。He joined the company five years before I did.(彼は私よりも5年先に入社しています)と説明的に言うのが自然。older guy at workなら、ちょっと親しみのこもったニュアンスも。

(6)後輩
friend from work

「後輩」もばっちりひと言で表わす言葉はありません。「誰が先に入ったの?」などの話の流れがあれば He’s my junior.(あいつは後輩)なんて言い方ができますが、普通に会社での付き合いがある人のことは、そのままfriend from workが一番しっくりくるでしょう。

(7)同期入社した
joined the company in the same year

日本では、同じ年に入社した社員同士のつながりが強く、「同期」
として長く付き合う傾向が。説明的にjoined the company in the same yearで意味は伝わりますが、アメリカでは同期を重要視しないので、「絆」のようなものまで含むのはちょっと厳しいかも。

(8)お局(つぼね)さま
office hag

「お局さま」の意味を知ったとき、感心しました。江戸時代の大奥あたりから来た言葉ではないでしょうか。思い切って、office hag(直訳すると「オフィスの鬼婆」なら恐ろしさがわかるでしょう。office hag の密かな憧れ「寿退社する」は leave the company to get married、「玉の輿」は Cinderella marriage。

(デイビッド・セイン著『「おつかれさま」を英語で言えますか?』KADOKAWA(2017年5月13日))
(デイビッド・セイン著『「おつかれさま」を英語で言えますか?』KADOKAWA(2017年5月13日))

(9)御曹司
Heir

日本語の「御曹司」という言葉には、やっかみと冷やかしのニュアンスが少し感じられますが、「後継者」と考えてheirと言えばいいでしょう。社長の娘などを表す「ご令嬢」なら the president’s daughter など。heir は企業一族に対して使う言葉ですが、日本語の御曹司は政治家一族にも使うことが多いのが特徴でしょう。

(10)エリート
highly educated employee

そのままeliteでは、英語では通じません。英語では、国内で10本
の指に入るような優秀な人しか指さないからです。日本語のエリートは、特に高学歴で高給取りの人をさすので、highly educated employee でよいでしょう。「エリート官僚」は high flyer / high flier、「海外勤務経験者」は people with experience working overseas。

デイビッド・セイン
1959年、アメリカ・ユタ州生まれ。ユタ州立大学卒業後、カリフォルニア州アズサパシフィック大学で社会学修士号取得。これまで累計350万部以上の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英語学校A to Z校長。証券会社勤務の後、来日。日米会話学院などを経て、英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行なうクリエーター集団「エートゥーゼット」の代表を務める。日本における26年以上の豊富な英語教授経験を生かし、日本人にあった日本人のための英語マスター術を多数開発