海外に事業展開する三菱UFJ

三菱UFJ銀行における2014年3月期の国内の利ざやは-0.3%です。金融緩和が長期化する中、新たな収益源が求められますが、既に国内には成長する余地がなくなっている気がします。

一方、海外事業は大変好調な模様、毎年10%前後収益を伸ばしており、今や世界全体の10%以上のシェア(同社のみの数字ではなく、日本の全ての金融機関を合わせた数字)を持っています。実際の所、同社の単体利益の約40%を国際部門が占めており、更に連結利益では米国の「ユニオンバンク」「モルガン・スタンレー」、及び、タイの「アユタヤ銀行」等の収益も含まれ、10億ドル以上の利益を上げています。

米国10位以内に入る日も遠い未来の話ではありません。その様な点もあって、不人気の国内事業に代わって海外事業の方をメインと考える様になりました。また、米国以外では東南アジアに重点を置いており、タイに引き続きミャンマーにも進出する方針です。

今も尚、合併時の後遺症がある三菱UFJ

「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の弱点は、名前通り「旧三菱」「旧UFJ」の間に置けるお互いの仲が悪い点です。旧三菱側は旧UFJの人間を「無能」呼ばわりする一方、旧UFJ側は旧三菱の人間に対して「プライドだけが高い」とお互い煽っていると言われます。実際の所、旧UFJ支店の店長に任命されました旧三菱側の人間は仕事のやり辛さを実感していました。

また、両者の間ではお互い昇進または役職に関する基準が異なっている点から、旧UFJ側の人間の方が明らかに昇進しやすい傾向があらわれており、合併時にお互いの規定をむりやりどうにかしたため、全体の上下関係が歪になってしまいました。

前述の様な事態を避けるには、3社での合併の方が無難なのかもしれません。実際の所、「第一勧業銀行」「富士銀行」「日本興亜銀行」の3社が合併して作られました某銀行は、旧銀行間に置けるお互いの仲が(三菱UFJ銀行と比べたら)悪くありません。ツートップ体制の典型例として政界の橋下さんと石原の場合、間に河村さんでも入っていたら結末が違っていたと思います。

国内部門が空洞化するのを避けるには

「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の今後の課題は海外部門の比重を一定限度に抑制できるかです。海外に進出すればするほど国内部門が空洞化していきます。

実際問題、ある程度、国内部門を重視しなければ、そのうち外資系企業の一つと認識される様になってしまいます。国内でのシェアが高いトヨタ及びソニーがこれですから、常に寡占から落ちる危険を伴う三菱UFJ銀行の場合は尚更です。そうならない様にするには、ある程度、国内の需要、特に利回りが良い中小企業への融資を積極的に行う必要があります。

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