9月11日(月)の上海総合指数は0.3%上昇、深セン総合指数は0.8%上昇した。堅調な相場だったが、目だって上昇したセクターがあった。騰落率で示すと、充電スタンドが4.8%、リチウム電池が4.2%、新エネルギー自動車が3.7%上昇し、相場をけん引した(セクター別指数は同花順より)。

上昇要因は明白である。9月8~10日、天津濱海区において、中国自動車産業発展(天津経済技術開発区)国際フォーラムが開かれたが、9日に行われた工業情報化部の辛国斌副部長による講演が材料視された。

「グローバルで見た自動車産業は今まさにインテリジェント化、電動化に方向を変えており、新たな分野で優位に立ち、産業発展の趨勢、チャンスを把握するために、化石燃料自動車の生産販売停止時期の検討に着手している」と発言、その内容が大きく注目された。

自動車販売台数「日、米、独」の合計シェアよりも中国が上

中国,EVシフト
(写真=PIXTA)

このような方針を示すのは中国が初めてではない。ノルウェー、オランダでは、2025年までに、インドでは2030年までに化石燃料自動車の販売を禁止すると宣言している。さらに、イギリス、フランスでは、2040年から全面的にガソリン車、ディーゼルエンジン車の販売を禁止するなどと宣言している。化石燃料自動車の廃止は世界的な大きな流れとなりつつある。

2016年における世界の自動車販売台数トップは中国で2812万台、世界全体の29.6%を占めている(GLOBAL NOTE国際比較統計より、以下同様)。第2位はアメリカで12.8%、第3位は日本で9.7%、第4位はドイツで6.4%、第5位はインドで4.7%、第6位は韓国で4.7%を占めている。

日本、アメリカ、ドイツの3国のシェアを足しても中国に及ばないほど、中国のシェアはとびぬけて大きくなっている。これまで、日本、アメリカ、ドイツなど自動車産業の強い国ではEVへの転換に積極的ではなかったが、中国の新たな動きによって、今後はEVへの転換を急がざるを得なくなりそうだ。

現状においても中国における新エネルギー自動車の販売台数は急増している。中国自動車工業協会が9月11日に発表したデータによれば、8月の新エネルギー自動車販売台数は6万8000台で、前年同月比で76.3%増加した。

全体の自動車販売台数に占める割合は3.2%だが、全体の伸び率である5.3%と比べると、圧倒的に高い比率である。新エネルギー自動車の構成を見ると、EV乗用車が64.7%、EV商用車が17.6%を占め、PHEV乗用車は16.2%、PHEV商用車は1.5%に留まっている。

また、この順に前年同月比の伸び率を示しておくと、97.4%、88.8%、36.9%、▲47.4%となっており、伸び率でもEVが圧倒している。実績で見る限り、中国の新エネルギー自動車はEV中心となっている。

新エネルギー自動車の生産を義務付ける法案が成立直前