韓国の鶏肉料理は、参鶏湯(サムゲタン)やタッカンマリ(鶏一羽)、タッカルビなどがあるが、最近は「チメク」が定番となっている。チキンとメクチュ(韓国語でビール)を組み合わせた造語で、気軽な会食や2次会などで利用する人が多い。

2017年9月1日に韓国で鶏肉流通価格公示制度がスタートした。フライドチキンの消費者価格は1万6000ウォンから2万ウォンだが、畜産業者の2017年8月末時点の供給価格は1キログラム当たり平均2665ウォンで、原価に比べて販売価格が高すぎると不満の声が広がっている。

フランチャイズ側は、公示価格に加工や輸送費を加えた3500ウォンから4000ウォンで仕入れており、輸送費やマーケティングなどの経費などを上乗せした5000ウォン程で加盟店に供給していると公表した。

政府が鶏流通価格公示制度を導入した目的は消費者の不満解消だ。家庭で食される機会が多い牛肉や豚肉などは市場価格が形成されているが、家庭で調理されることが少ない鶏肉はデパートやスーパーも扱いが少なく、市場価格は浸透していない。公示制度は鶏肉の供給を透明化し、市場価格を合理的に誘導することに主眼が置かれている。

退職金でフランチャイズに加盟する失業者たち

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(写真=筆者)

韓国のフライドチキン店は配達サービスも充実している。自宅やオフィスはもちろん、ホテルのロビーや公園などにも配達し、店舗では扱っていない缶ビールやジュースなどをコンビニで購入してチキンと一緒に届けるサービスもある。

フランチャイズ(FC)に加盟しているフライドチキン店は2015年現在で2万4678店舗。FCに属さない店舗を含めると3万店を超えるといわれており、1500人に1店の過当競争だ。

フライドチキン店の増加は韓国特有の就業事情によるところが大きい。60歳定年制が導入された2016年以前は55歳定年で、40代後半から50代前半で退職する人も少なくない。再就職は望めないことから法律で定められている手厚い退職金を元手に独立する人が多く、2013年の自営業者比率は27.4%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の16%を大きく上回っている。

2000年代半ばに若者の就職難が深刻化しはじめた頃から、退職金を受け取った親が正規職に就けない子と一緒に独立するケースが目立ちはじめた。FCビジネスが拡大し、2016年には5273ブランド、FC加盟総数21万8997店に達している。

なかでもフライドチキンFCの加盟店はコンビニエンスストア(3万846店)に次いで2番目に多く、成長著しいコーヒーショップ(1万1872店)を大きく上回っている。

FC脱退が多いフライドチキン店