日清食品はカップヌードル生誕46年に当たる2017年9月18日、中に入っているサイコロ状の肉「謎肉」が、実は大豆などからできていることを初めて公表した。

「謎肉」といえば一時期、具体的な理由が明かされることなく「コロ・チャー」と呼ばれる豚肉加工品が取って代わり、姿を消していたことがあったが、実は大豆の価格高騰と関係があったということなのだろうか。原材料の価格高騰と私たちの生活に及ぼす影響についても考えてみたい。

謎肉狂想曲

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(写真=PIXTA※画像はイメージです)

「真実はいつもひとつ! 謎の正体は、大豆!!」-。日清食品の公式サイト上では、人気マンガ「名探偵コナン」とコラボしたマンガ仕立てで「謎肉」の正体を明かされている。

さらに「カップヌードル46年目の告白」というタイトルで「カップヌードルは告白します。謎肉の正体、それは『大豆』であることを。『謎肉』は肉と大豆由来の原料に、野菜などを混ぜて味付けしたミンチ、動物資源と植物資源を合わせた『謎肉』は来たる世界の食糧危機に対応した『近未来ハイブリッドミート』だったのです!!」と説明した。

この「告白」は大いにバズった(TwitterやFacebookなどのSNSで急に話題となるなど、特定の単語や物事がインターネット上で爆発的に多くの人に取り上げられること。「口コミ」という意味のマーケティング用語「Buzz」から)。

同社は2016年にこの謎肉を通常の10倍に増やした「謎肉祭」を限定発売、最近では過去に発売するも売れ行きが伸び悩んだ3商品を「黒歴史トリオ」の触れ込みで発売したが、いずれもネットで生まれたスラングをネーミングに盛り込むことで成功を収めている。今回の「告白」も2017年9月18日に再販された「謎肉祭」のプロモーションの一環だ。

コロ・チャーになったのはなぜ?

「謎肉」の正体が大豆だと分かったことで、ネット上ではひとつの疑問が噴出している。「謎肉が豚肉の角切りである『コロ・チャー』に変更された2009年、大豆の価格高騰があったからではないか」というものだ。

今になってそうした憶測が出ているのは、当時、変更理由は「品質向上・具材強化の一環」くらいしか説明されていなかったためだ。

国立国会図書館のレポート「調査と情報 第617号 穀物価格の高騰と国際食糧需給」にはこう書かれていた。「小麦・トウモロコシ・大豆・コメの価格は1~2年前と比較して大幅に上昇し、2008年に入ってから相次いで史上最高値を更新し、現在(筆者注:2008年)の価格は最高水準で推移している」。

さらに、大豆については以下のような分析があった。「2006年9月の小麦高騰を受けて、米国で小麦に作付け転換する農家が増え、大豆の作付面積が減少した結果、上昇基調に転じた。(中略)2007年8月後半には、大豆の主要生産・輸出国である米国とブラジルの乾燥懸念から急騰した」。その後、2008年3月に史上最高値を更新したという。

真偽は定かでないが、どうやらネット上の指摘はあながち間違いでもなさそうだ。ちなみに、農林水産省の公式サイトによると、日本は1980年代まではアメリカに輸入の大部分を依存していたが、1973年にアメリカが大豆輸出規制を行い、豆腐価格が高騰したため、買い占め騒動まで起きた。

このことから、当時の田中角栄首相がブラジルの熱帯サバンナでの大豆栽培に資金と技術を提供し、今やブラジルの大豆生産量はアメリカに次ぎ世界2位になった。それ以降、価格の影響は回避できないまでも、日本で大豆不足が深刻になったことはなかった。

市場の動きは生活に直結

食糧にしても資源にしても、原材料の収穫高は人間がコントロールできない部分で左右されるため、これまでも商品の価格や量に大きな影響を与えてきた。

2017年は海苔やバターなどが値上げされたが、特に記憶に残ったのがジャガイモだろう。ポテトチップスは今年春の一時期、店頭から姿を消し、子供たちのおやつに影響した。サンマも不漁で、毎年9月に恒例で行われている「目黒のさんま祭り」では、史上初、冷凍物のサンマが振る舞われることになってしまった。

原油価格高騰が思わぬ方向に飛び火し、国民が競うようにトイレットペーパーを買い占めた「オイルショック」は30代以下にとってはもはや伝説となっているが、あれは主婦だけではく、当時の子供たちにも大きく影響したことはあまり知られていないかもしれない。

当時、子供たちに人気の「ウルトラマンレオ」(1974~1975年)が放映中だったが、価格高騰のため、レギュラーの登場人物や制作費が高く付く場面の削減を余儀なくされた。このため、それまで子供たちに親しまれてきた地球防衛隊を全滅させ、主要人物を軒並み事故死させるという荒業で乗り切った。ヒーロー番組は数あれど、こんな路線変更は珍しく、無茶なストーリー展開が子供たちにトラウマを植え付けたといわれている。

このように、原材料の市場価格が私たちの日常生活を大きく変えてしまうことはよくあることだ。コンビニやスーパーでものを買ったり、気候変動や資源価格の動向に接したりしたときに、少し意識してみるだけで、どこかとっつきにくいイメージがある「経済」を身近に感じられるのではないだろうか。(フリーライター 飛鳥一咲)

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