2017年10月から、宅地建物取引士が行う重要事項説明をテレビ会議等のITを活用して行う「IT重説」の本格的な運用がスタートする。国土交通省は2015年8月から、賃貸取引(個人・法人)での「IT重説」の社会実験を行ってきた。IT重説実施後のアンケートでは、IT重説に起因するトラブルはほぼ認められず、運用に支障がないとの見方から本格運用の開始となった。不動産の売買取引も含め、いずれは全面的な「IT重説解禁」となるのだろうか。

賃貸取引に係る「IT重説」とは

不動産,IT重説
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「IT重説」とは、宅建業法第35条に基づいて宅地建物取引士が行う重要事項説明を、テレビ会議などのITを活用して行うものであり、今までは対面で行っていた重要事項説明と同じように取り扱われるものである。

スマートホンやパソコン、タブレットなどの機器を利用し、お互いがテレビ会議などの映像でつながる形で説明を受ける仕組みで、必ずしも不動産の店舗に行かなくとも良いとされる。

国土交通省は、2015年8月から賃貸取引(個人・法人)と法人間売買取引を対象に実務レベルでの社会実験を行ってきており、その結果、賃貸取引(個人・法人)においては「IT重説」運用に支障がないとの判断で2017年10月から本格的な運用開始となった。

利用者は来店不要で時間・金銭負担が軽減されるがシステムトラブル解決に課題も

国土交通省の「IT重説実施直後のアンケート」の結果によると、社会実験の期間中にIT重説を受けた利用者の年齢層は、20代が36.1%と最も多く、次いで30代が21.9%、40代が18.2%、50代が13.8%と続き、60代、70代はそれぞれ2.5%、0.3%にとどまった。通信機器の操作や手順に不安のある高齢世代にはまだハードルが高いシステムであると感じられる。

IT重説の利用の動機で最も多かった理由は「店舗まで行く負担(時間・費用)を節約できる」という回答が67.9%となっており、「仕事や病気」「国外滞在」などの理由で店舗に行くことが困難であるとの回答を含めると、全体の約8割(76.6%)を占めた。

また、IT重説の営業時間外での実施については、全体の約2割(17.4%)が通常時間外で利用している。

上述のように利用者の多くは、場所や時間の制約を受けず、店舗に行かなくとも良いことで、時間や金銭的な負担が軽減できることにメリットを感じているが、IT機器の取り扱いでは、機器に不具合が生じる頻度が高かったとする回答や、機器に不具合があった場合に、お互いに口頭で解決をするのが難しいとする回答もあり、機器やシステムに対しての知識に不安や不便さも感じており、双方ともに幅広い年齢層が利用できるまでには課題も残っている。

IT重説を利用する際に気を付けることは「本人確認」と「内覧実施」

来店が不要ということで、遠隔地の顧客の負担軽減やスケジュール調整のしやすさなどは便利であるが、対面しないことでIT重説を利用する際には気を付けるべき点も出てくる。

・借りる側

重要事項説明をする相手方が宅地建物取引士本人であることを、画面上に映し出された取引士証で確認する必要がある。

・貸す側

説明を受ける相手方が契約当事者本人等であるかを公的な身分証明書(運転免許証等)や第三者が発行した写真付きの身分証(社員証等)などで確認する必要がある。

・双方とも

想像の内容と異なっていた等のトラブル回避のために、契約締結までに内覧の実施をすることが望ましいとされることや、録画・録音の記録に個人情報が含まれるため、適切な管理が必要になる。

売買も含めた全面的な「IT重説解禁」は?

国土交通省は、2018年7月まで法人間売買取引についてのみ社会実験を行っており、個人を含む売買取引については、本格運用となった賃貸取引の実施状況や法人間売買取引の実験の結果などを踏まえた上で、社会実験や運用に向けて検討するとしている。

賃貸取引では、1年5か月の社会実験後に検討会を開き、本格運用にこぎつけるまでには2年以上を要していることから、個人の売買取引での運用は早くとも2020年以降になると予測される。

IT重説の本格運用開始とはいえ、宅地建物取引業者らのIT環境の整備や一般顧客のIT重説の認知度不足などもあり、広く浸透するまでには時間がかかりそうだが、県外から移住してくる大学生や転勤族などにとっては、利用価値の高いシステムとなるのではないだろうか。(ZUU online編集部)

【編集部のオススメ記事】
最前線で活躍する大人のスキンケアの心得とは(PR)
ZUU online8月記事ランキング 丸井は百貨店ではない、300万円超えのスーパーマリオ……
デキるビジネスパーソンは脂を身体に乗せず、仕事に乗せる。(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
NISA口座おすすめランキング、銀行と証券どっちがおすすめ?(PR)