マスターカードが「ブロックチェーン技術を用いた決済システム」を導入する可能性を、コインデスクが報じた。

米国特許商標庁が公開した申請書の中で、同社はデータストレージの需要や取引量の拡大に対応するための決済ソリューションとして、ブロックチェーンの採用を提案している。

安全で利便性の高い決済ソリューションを提案

このソリューションの主な目的は、すべての更新を自動的に記録するというブロックチェーンの特性を活かし、不正行為を未然に防ぐことと思われる。各取引ごとに、購入履歴から請求書、取引データなど、あらゆる関連情報をシステム内に永遠に記録することが可能だ。

実用化された場合、ポイント・ツー・ポイント(2つのネットワークを接続する)決済の安全性や利便性が著しく向上すると期待できる。

過去には仮想通貨の普及が消費者の安全に与える影響に懸念を示していたマスターカードだが、2015年に仮想通貨団体(DCG)に投資したのを皮切りに、精力的にブロックチェーン技術の研究・開発に乗りだした。

以降、「ブロックチェーン・コアAPI」「スマートコントラクトAPI」 など、ブロックチェーン技術を様々なシステム向上に利用している。

ライバル、VISAもブロックチェーン・サービスを続々開発

クレカ市場最大のライバル、VISAもブロックチェーン技術の採用に取り組んでいる。
2016年にはブロックチェーン・スタートアップChainと提携し、ビジネス向けブロックチェーン・プラットフォーム「Visa B2B Connect」の開発 を発表。

2017年6月に新たな決済ゲートウェイの構築に向け、ブロックチェーン技術者を募集しているとコイン・テレグラフが報じた ほか、B2Bソリューション「VISA Ready Programme for Business Solution」の提供を開始した。

またビットコインでチャージ可能なプリペイカード「バンドルカード」も発売するなど、マスターカードと競い合うように次世代決済システムへの移行を試みている。

両社に共通するのは、ビットコインを含む仮想通貨にある程度の関心を示しつつも、それはあくまで消費者の需要に対応しているだけで、主要な目的はブロックチェーン技術にある点だろう。多数の金融機関も同様のスタンスをとっている。

ポール・ハスティング法律事務所の銀行業務および国際決済システムズ・プラクティス部のパートナー、トム・ブラウン氏も、「企業が興味を持っているのは、仮想通貨ではなくブロックチェーン技術だ」と断言している(サンフランシスコ・コロニカルより )。

仮想通貨の取引は、従来の信用貨幣に匹敵するほどの地位を確立していない。しかしブロックチェーン技術を利用した決済法を開発することで、コストや手間の削減につながるという、理にかなった発想だ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

FinTech online編集部

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