ソフトバンクグループが5月に設立した新興市場への出資ファンド「SoftBank Vision Fund」で積極的な事業投資を行っている。企業向けメッセージアプリ「Slack」への出資もそのひとつだ。

企業としての「Slack」とは?

SB,ベンチャー投資,ITサービス,孫正義
(画像=Webサイトより)

Slack社は正式な社名を「Slack Technologies」と呼び、2009年にアメリカで設立された。2016年末時点での従業員数は約700人で、カリフォルニアのサンフランシスコに本社を置いている。

社内でのオンラインゲーム開発時に利用していた社内会話ツールがアプリケーションツール「Slack」としての始まりであり2013年8月に公開された。

シリコンバレーなどを中心に社内会話アプリケーションとしてSlackが導入されだし、細部のプログラムアップデートによる調整などを経てファイルの共有やスケジューリング管理などの外部機能との連結動作と共有自動化などが導入されることにより、徐々に利用者シェアを増やしている。

こういった「シリコンバレー周辺のみのアプリケーションブーム」は良くあることであるが、ここからさらに一歩踏み出し、社内メールなどに変わる「業務ツール」としてアプリケーションを広めようとしているのが、企業としてのSlack社だ。

「経歴」を重視するベンチャーキャピタルが注目するCEO

ソフトバンクに限らずこういった事業投資を行うリスクマネーの出資者を「ベンチャーキャピタル」と呼ぶが、そういった出資者が重視する要素の重いウェイトを占めるのは「事業を運営する経営者」である。

Slack社CEOを務めるのはスチュワート・バターフィールド氏。現在でいうFacebookやInstagramのような「知人と写真およびメッセージを共有できるアプリケーション」であるFlickrを開発し、今回と同じように起業したという経緯を持つ。

当時、先進的であったFlickrはヤフーによって買収され、ヤフーによる販促戦略や展開におけるさまざまなミスが重なり、2017年現在、サービスシェアは限りなく小さなものになってしまっている。

こちらのアプリについては本題ではないので詳しく言及しないが、今回注目すべき点は「過去に、大手インターネット企業が食指を伸ばすようなサービスを作り上げた」というバターフィールド氏の実績と手腕だ。

ソフトバンクを含むベンチャーキャピタルは同氏の実力と、開発したアプリがまた徐々に企業内にて広がるほどの汎用性を誇っているという点に目をつけ、本案件に大規模投資したと考えられる。