ビットコインの使用(円換金または物品購入)による所得は雑所得であるとの回答が国税庁Webサイトのタックスアンサーで出た。これを多くの投資家は悲観的に見ていた。損失の繰越ができない点が大きなデメリットだが、有利な材料はないのだろうか。

損益通算・損失繰越はできないが内部通算はできる

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(写真=Vodopyanov Vyacheslav/Shutterstock.com )

所得税・住民税の課税対象となる所得には10種類あるが、事業所得・不動産所得のように損失が他の所得と損益通算でき、かつ青色申告であれば繰越もできるもの、また上場株式等に係る譲渡所得のように同じく損失の繰越ができるものがある。

雑所得になると、損益通算も損失繰越もできない。タックスアンサーが発表された2017年9月前半には、中国におけるビットコイン取引所閉鎖により暴落してしまったこともあり、この扱いに落胆する投資家も多かった。

ただ一部の例外を除き、同種の所得内では通算可能だ。仮想通貨取引による損失が出た場合、同じ雑所得内であれば内部通算ができる。以下事例を示したい。

内部通算の例1:副業の所得

副業と言っても、上場株取引・FXのように分離課税の譲渡所得・雑所得等と決められているものは仮想通貨の所得とは通算できないことに注意したい。また不動産投資の副業であれば、後述するように不動産所得のほうで損失が出ていれば通算できる。

クラウドソーシング・オークションサイト・フリマアプリ・アフィリエイトなどネットを活用した副業を行っている人が増えている。本業として行っているのであれば事業所得に該当するが、サラリーマンの副業であればほとんどの場合雑所得である。

ビットコインによる損失が100万円あっても、メルカリの販売で110万円の利益が生じていれば、内部通算で雑所得は10万円である。その他に年末調整済みで年収2000万円以下の給与所得しかなければ、確定申告による所得税を納付すること無く住民税申告だけ行えばよい。

ビットコインで利益が出てメルカリ販売などで損失が出ている場合も、同様に通算できる。