内部通算の例2:年金収入

公的年金、また年金基金・確定給付型企業年金・確定拠出年金・生命保険会社の個人年金保険も、定期的にもらうものは雑所得に該当する。

年金をもらっている高齢者が投機損失で食いつぶしてしまうことは決していいとは言えない状況だが、万が一仮想通貨で損失が発生した場合は内部通算可能だ。

例えば67歳女性で、公的年金等による雑所得が120万円、ビットコインの損失が100万円であり、その他に所得がないケースを考える。この場合合計所得金額20万円となり基礎控除38万円の枠内になるので所得税は発生しない。公的年金等から所得税が源泉徴収されているのであれば、全額還付される。

さらにこの女性が2人世帯で夫がいれば、税法上夫の扶養という扱いにもできる。

仮想通貨の利益と事業・不動産所得の損失なら損益通算できる

2017年において給与所得の他(年末調整は適正に行われているとする)、ビットコインの利益100万円分の雑所得があり、所得税率が20.42%のケースであれば、確定申告により20万4200円所得税を納税することになり、また住民税も10万円上乗せされる。

しかし不動産投資もしていて、2017年に50万円の損失があれば、これは給与所得・雑所得と損益通算できる。課税所得が50万円下がるので、所得税の納税は10万2100円となり、住民税の上乗せ幅も5万円となる。

今後の取り扱いが変わる可能性に注意

少なくとも2017年分は雑所得として申告するしかないが、今後取り扱いが変わる可能性もある。「先物取引に係る雑所得等」という枠にあり3年間の損失繰越が可能なFXも、2011年以前はビットコインと同じ雑所得であり損失の繰越はできなかった。

また2016年からは公社債の売却益・利息も取り扱いが変わっている。仮想通貨の取引も所得税法等の改正により、例えばFXと同じ「先物取引に係る雑所得等」の扱いに変わる可能性も考えられる。

その場合は損失の繰越ができたりFX・先物取引と損益通算できたりする代わりに、上記各事例のような雑所得の内部通算や、事業・不動産貸付で生じた損失との損益通算は認められなくなる。

タックスアンサーでビットコインの取り扱いが示されたのは、Fintechの急速な進歩により国税当局が当座の対応を示したということである。政府や与党の税制調査会が仮想通貨の性質を吟味して、法令で取り扱いを変えていくかは注視する必要がある。(石谷彰彦、ファイナンシャルプランナー)