IBMが過去10年にわたり労働力を米国からインドへ移行させた結果、現在ではインドの従業員数が米国をはるかに上回っていると推測されている。

米国の従業員数は推定10万人以下と10年前から3万人以上も減っているが、インドでは13万人を雇用している。職種によって異なるものの、インドの賃金は米国の3分の1~5分の1程度と大幅なコスト削減につながるほか、優秀なIT人材の宝庫としても米国を脅かす存在となりつつある。

IBMインド会長「顧客の予算内で需要に応える人材が見つかる」

「IBMは世界中の総従業員数の3分の1相当をインドで雇用している」とCNBCは報じている 。IBMは正確な従業員数を公表していないため、これらの数字はあくまで関係者による推定の範囲だが、同社にとって世界最大規模の労働力がインドに集中していることになる。
国際大手企業が他国で従業員を雇うのは当たり前ではあるものの、単一の国で本国よりも労働規模を大きくするという動きは異例である。DellやOracleなども本国より海外での労働力を拡大しているが、複数の国・地域に分散させている。

米国が「IT大国」としての地位を築く過程に大いに貢献したIBMが、インドへ主要労働力を移行させた背景には「コスト削減」や「人材の確保」があるようだ。

米国のIBMで12年勤務後インド支社へ移転したバニサ・ナラヤナンIBMインド会長は、「インドでは顧客の予算内で、需要に応えるに十分な資格を所得した人材が見つけやすい」と説明している。