投資の世界ではAI活用の話題が盛り上がっている。この投資におけるAIの活用は大きく2つに分類される。1つ目はAIの登場によって今後新しい技術、商品が生み出され、ライフスタイルや消費行動が変わっていくが、この変化の中で、どのような企業や業界が収益を上げていくか、または業績が悪化していくかを見極めて株式投資等に活用し、既存の投資商品の投資収益の向上や新しい投資商品の開発・販売を図るというものである。2つ目は投資判断自体にAIを活用し、より収益が高くリスクが低い投資を実現していこう、または一般の投資家の投資判断に活用してもらおうというものである。本稿では、2つ目のAI活用について自動車の自動運転と比較しながら、投資判断で機械学習レベルのAI等のシステム活用がどのくらいできるのかについて考えてみたい。

正しく目的の設定ができるのか。

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(写真=Thinkstock/GettyImages)

正しい投資、つまり目的に適った一番効果がある投資をするのには、まず適切な「投資の目的」の設定が必要である。投資の目的を適切に設定するためには、投資期間の設定と、投資家による投資の成果の明確なイメージ、できれば具体的な投資金額や中間・最終の数値目標等があった方が良いが、これがなかなか難しい。投資家によって投資目的が多様であり、また自分自身でも目的が明確にイメージできない場合が多い。

一方、自動車の自動運転の目的は正しく設定できるであろうか。これについては明確な目的設定は可能であろう。一般的には「目的地に安全確実に到着すること」が目的となる。これに加えて「なるべく早く」とか「交通法規を遵守する」とか追加の目的や制約条件を加えることも可能だ。レジャー目的で「景色の良い道をドライブしたい」という場合でも、「安全な運転」「事故を起こさない」等の目的設定は可能であろう。

機械学習レベルのAI等のシステム活用において、目的設定は重要であり、明確な目的がない場合、その目的達成に役に立つ判断でのAI活用は困難になる。この観点では車の自動運転の方が、目的設定が個人の嗜好に依存する投資判断より、万人が納得できる明確な目的設定が容易であると言える。

勿論、投資判断においても実現できるかは別として、例えば10年で年平均2%の利回りという明確な目的設定は可能であり、また部分的に投資判断に利用できる「倒産しない企業の選別」等でも目的は明確に設定できよう。こうした場合は目的に沿った意思決定、判断でのAI活用は可能となろう。では次に、AI活用でどのくらい目的達成に役に立つのかについて考えてみたい。