将来的にはウェルスマネジメントの大部分がAI(人工知能)化され、GoogleやFacebookなど大手IT企業によるAI技術が「お金持ちをさらに富ませる目的で活用される」との見解を、キャップジェミニ国際金融サービシズのアナリスト、デヴィッド・ウィルソン氏が示した。
調査結果からは「裕福な顧客(資産100万ドル以上)の56.2%が、大手IT企業による金融サービスの利用を検討している」ことも分かっている。しかし裕福な顧客の多くが人間との信頼関係を重視しているため、人間のマネージャーの仕事がなくなるという懸念は今のところ皆無に近いようだ。
ウェルスマネジメント企業の8割がIT企業の参入を確信
大手IT企業がAI技術の開発に乗りだした今、既に保有している膨大な個人データを利用して「高質なウェルスアドバイス」を提供することは難しくないはずだ。これらの企業は世界中のインターネット利用者のリテール経験から社交経験まで、あらゆる情報を知り尽くしている。
AI技術を組み合わせ、お金持ちの顧客それぞれの需要に合わせた適切なアドバイスを弾きだせると、ウィルソン氏はCNBCの取材で語った。
キャップジェミニの調査によると、お金持ちの顧客が2016年にアセットマネージャーを通して得たリターンは平均24.3%。 日本以外のアジア圏では33%、南米では31.3%にも達している。
これらの裕福な顧客の過半数が「大手IT企業によるウェルスマネジメント・サービスを検討する」と答えている点が興味深い。つまり「ハイブリッド・ウェルスマネジメント」と呼ばれるテクノロジーを採用したサービスに、関心を示しているということだ。
調査報告書ではウェルスマネジメントの定義が明確にされていないが、報告書を見る限り、単に資産を管理するだけではなく資産運用に重点を置いたサービスを指すものと思われる。