AIウェルスマネジメントは「裕福な層をさらに富ませる」ためのもの?

既にAppleやGoogle、Facebook、サムスンなどは決済サービスで金融市場に参入している。ウィルソン氏の予測通り、データと技術を活かしてウェルスマネジメントに乗りだしても決して不思議ではないだろう。

実際、調査に協力したウェルスマネジメント会社の78.3%が、「IT企業がウェルスマネジメント分野に参入してくる」と確信している。

それではやはり人間のウェルスマネージャーの役目はなくなるのだろうか。

「(担当の)ウェルスマネージャーに満足している」と答えた裕福な顧客は60%以下。「報酬や手数料に満足している」のは半数以下(48.7%)だ。低コストで精密度の高いAIマネージャーに勝ち目がありそうな印象は否めない。

しかしウィルソン氏は裕福な顧客が利益はもちろん、人間のマネージャーとの信頼関係やよりカスタマイズされたアドバイスを好む点を指摘している。

結論としては、たとえAIベースのウェルスマネジメントが主流になったとしても、これらの顧客は人間のマネージャーを必要とする可能性が高い。AI技術はあくまで「裕福な層をさらに富ませる」ために、活用されることが予測される。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

FinTech online編集部

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