スタートトゥデイ <3092> が運営するファッション通販サイトZOZOTOWNの送料が「自由」になった。以前のZOZOTOWN一般会員の送料は、購入金額が4999円以上で無料、それ未満で399円と設定。今回の変更で、購入金額に関わらず、消費者が送料を0円から3000円の範囲で決めるようになった。消費者に送料を決めさせる狙いとは何であろうか。

レディオヘッド、はづ旅館……消費者に価格を決めてもらった事例

ZOZO TOWN,マーケティング,スタートトゥデイ
(画像=Webサイトより)

ZOZOTOWN以外にも価格を消費者に決めてもらう試みは以前からある。消費者が価格を決めた事例を確認してみよう。

2007年、イギリスの大物ロックバンドRadiohead(レディオヘッド)のアルバムIn Rainbowsダウンロード版の価格を購入者に決めてもらう試みがあった。米調査会社comScoreの情報によると、対価を支払ったのは全世界で38%であった。

半数以上の顧客が無料でダウンロードしたことになったが、流通経路の短縮によるコスト削減効果や話題性による宣伝効果、海賊版や違法コピーの抑制により一定の成果を得たと言われている。

日本には、宿泊料金をお客が決める旅館「はづ別館」がある。愛知県の奥三河・湯谷温泉にあるこの宿は、宿泊代金は顧客が感じた価値分を払うプランを用意している。顧客との信頼関係を重視した画期的なプランである。更に、このプランは長年継続されていることも注目だ。

消費者が価格を決めることをPay what you want(PWYW)と呼ぶ。また、似た用語としてName Your Own Price(NYOP)がある。PWYWは顧客が自由に価格を決めるのに対し、NYOPは事業者側が最低価格を設定する違いがある。

消費者に価格を決めさせる狙い

PWYWの狙いは何だろうか。PWYWについて、一般的な事業者の狙いと思われるものをピックアップする。

狙いの一つ目は、新規顧客獲得を期待できることだ。ある商品やサービスに興味があっても価格設定が高いと思っている消費者に対し、自由な購入価格の決定は購入意欲を高めることになる。つまり、新規の購入者増加を期待できる。

二つ目は、顧客満足度の向上と共に、より高い金額を払ってくれる期待値が上がることだ。顧客満足度が上がりファンとなった顧客にとって、その商品やサービスにはブランド価値がある。顧客にブランド価値を認めてもらうことで、より高い購入価格を払ってくれる可能性が上がるだろう。

三つ目は、商品やサービスの提供側にとって、価格設定の手間を省くことができる。事業者が価格を決める方法には、原価や需要、競合状況の考慮など様々あり、事業者が必ずしもベストな価格を設定できるとは限らない。場合によっては、価格の設定により、本来売れるべき物が売れないということもある。購入者が価格を決めることで、事業者は価格設定の手間から解放されるのである。