10月11日、イケア・ジャパンは愛知県長久手市に新店舗「IKEA長久手」をオープンさせた。大型店舗では国内9店目となり、東海地方には初進出となる。機能性、デザイン性を重視した家具を武器に、巨大ショールームを兼ねた郊外の大型店舗を出店するイケアは独自の存在感を発揮している。ただ、近年は国内業績に伸び悩みの傾向も見られ、オンライン市場との競争等の課題の多いようだ。

東海地方初出店は愛知県長久手市 年間来場者400万人超を見込む

イケア
(写真=Roland Magnusson/Shutterstock.com)

10月11日にオープンした「IKEA長久手」は2万平方メートルの売り場に約9500点の商品を並べ、年間来場者数は400万人超を見込む。国内最大級の規模となり、「IKEA港北」に次ぐ売上を計上する可能性がある。

イケア・ジャパンは2006年に千葉県船橋市に1号店をオープンし、現在までに関東に4店舗、東北に1店舗、関西に2店舗、九州に1店舗と大型店舗を8店持っている。「IKEA長久手」は9店目の大型店舗となり、東海地方には初出店となる。

イケアは機能性に優れ、シンプルなデザインを持つ北欧製の家具と、巨大ショールームを兼ねた郊外の大型店舗という出店戦略で独自の存在感を築き上げてきた。「IKEA長久手」の開店初日である11日は、平日にも関わらず、開店前から長蛇の列ができ、同社の知名度の高さと東海地方進出への期待度の高さが窺えた。

ニトリやオンライン市場との競争激化で国内業績は伸び悩み

しかし、2006年の国内進出から11年が経過し、東海地方初進出も果たしたイケア・ジャパンであるが、その業績には伸び悩みが見られる。

同社の決算公告によると、2016年8月期の売上高は前年度比1.7%減となる767億円となっている。同社は2020年迄に売上高1500億円を目標に掲げるが、達成への道のりは険しい。また、営業利益に関しても、2016年8月期に前年度比85%増となる16億円を記録しているが、ピークであった2013年8月期の87億円からは大きく減少している。営業利益に関しては、2014年に東京都立川市に新店舗を開業させる等、投資活動に回しているという要因も挙げられるが、近年の円安傾向による、輸入採算の悪化や、値下げの影響といった事情もあると見られる。

独自の戦略で存在感を示してきたイケアだが、同社も競争の波にさらされている。ライバルとして挙げられるニトリを運営するニトリホールディングス <9843> は30年連続の増収増益を達成しており、2017年2月期の売上高は前年度比12%増の5129億円、47都道府県全てに店舗を構えており、規模でイケアを圧倒する。また、近年はオンライン市場の発達で、郊外型の店舗を構えるイケアからの顧客流出も指摘されている。

「都心」と「オンライン」が今後の戦略のカギに

イケア・ジャパンもそうした状況を、指をくわえて見ているわけではない。4月には国内全店舗でオンライン販売を開始しており、今後はアマゾン・ドット・コム等のECサイトでの出店も検討する。そうした動きに合わせ、愛知県弥富市にある物流センターの拡張にも乗り出した。

都心への進出も検討している。郊外型の店舗を持つイケアは都心の顧客獲得が課題となっているが、8月の事業戦略説明会では都心に小型店舗を出店する方針も示している。現在、小型店舗は熊本に1店舗を構えるのみであるが、ライバルのニトリも都市部への出店を強化しており、そうした流れを追いかける。

昨年掲げていた2020年迄に大型店舗を14店に増やす戦略は、今年8月の事業戦略説明会で方針転換の可能性を示唆している。今後も郊外のショールームを兼ねた大型店舗の出店余地を探る事は続けるが、完全な独自戦略から時代の流れに即した戦略への転換を目指す。2006年の国内進出から11年が経過し、イケアブランドは多くの消費者に浸透した。今後は築き上げてきたブランド力でオンラインや都心の消費者の取り込みを狙い、休日にだけ訪れるイケアから、いつでも目にするイケアへの転身を目指す。(ZUU online編集部)

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