入れ込むべき内容が決まれば、あとは「説得力」を高めるということが重要です。MECEの考え方でヌケモレをなくし、説得力を出すために効果的に数字を使い、図表も分かりやすさにつながるように使うことです。

(本記事は、永田豊志氏の著書『 会社では教えてもらえない仕事がデキる人の資料作成のキホン 』すばる舎(2017年5月24日)の中から一部を抜粋・編集しています)

矛盾がない=論理的ということ

会社では教えてもらえない 仕事がデキる人の 資料作成のキホン
(画像=Webサイトより 画像をクリックするとAmazonに飛びます)

説得力のある資料にしたいのであれば、論理的でなくてはなりません。論理的とは、ちゃんとした筋道が通っていて、理にかなっているということです。

ただ自分の主張を繰り返したり、自分の感情や感覚でモノを言うのではなく、それを読んだり聞いたりした人が、示された根拠から合理的に考えて、あなたの主張に納得できるという状態。それが論理的なものの考え方というものです。

ビジネスの世界では、常に感情やかたよった主観の印象に流されず、理路整然と物事を説明できるスキルが求められます。

理路整然と説明するための思考のフレームワークとして、「空・雨・傘」と呼ばれるものがあります。

空を見上げてだんだん雲行きがあやしくなってきたら、「おや、雨が降るかもしれない」と思い、傘を持って出かけるでしょう。この思考のプロセスを言い表したものです。この空と雨と傘の関係は、空を見上げると雲行きがあやしくなってきたという「事実」から、雨が降るかもしれないと「解釈」し、その結果、傘を持っていこうという「結論」に達したということです。

ビジネスの現場では、このような事実→解釈→結論という流れがとても大事です。

あなたが考えた分析結果がどんなに優れたものでも、事実にもとづいていないと相手に受け入れられません。また、解釈の結果、とるべき行動に筋道が通っていない場合も、相手に理解してもらえないと思います。

「サポート満足度15%ダウン」をどうとらえるか

たとえば、上司に顧客調査の報告書を提出する場合を想定します。アンケート調査で、顧客サポートに関する満足度が前年度に比べて15%も下がっていたとします。

そのとき報告書に、次のように書いたらどうでしょうか?

「サポートに不満を抱える顧客が多い」→「解約が増えるかもしれない」→「新規営業に力を入れるべき」

この報告書の問題は「サポートに不満を抱える顧客が多い」というのは事実ではなく、主観的な印象でしかないということです。そのため、起こり得る解約という結果もブレる可能性があり、さらには解約という問題に対して新規営業を強化という論理も突飛なものになっていることがわかります。

事実はあくまで「サポート満足度が前年度比で15%ダウン」であり、そこから解釈できるのはサポートの「品質(回答スキル)」あるいは「人員(対応能力)」のいずれかが不足しているかもしれないということです。

その結果、とるべき妥当な結論としては、たとえば「サポート係に最近の問い合わせ内容や受け答え件数を問い合わせる」などとなるのではないでしょうか。
それは客観的な事実か?解釈と結論に至る筋道は誰もが理解できるか?こうした点に注意することで、資料は自然と論理的になっていくのです。

モレ、ダブリをなくす

また、説得力のある資料を作るにはモレ、ダブリがないことも重要です。

ある人気自動車サイトでは、車を次のように分類しています。

コンパクトカー、軽自動車、ハイブリッド、ミニバン、ハッチバック、セダン、SUV、ステーションワゴン、クーペ、オープンカー……。

するどい人はもうおわかりでしょう。そう、この分類はすでに破綻しています。

分類の軸がサイズやデザインだったり、法令上の規格だったり、エンジンタイプだったりとバラバラです。

そのため、ハイブリッドエンジンを積んだ小型クーペ、などはいくつもの分類グループに対して「ダブリ」がある状態になってしまいます。また、商用トラックなどどのグループにも属さないものもありますので、「モレ」もあるということになってしまいます。

モレやダブリがあると、整理する上でムダが生じます。誰もが同じように分類できないので、客観性にも乏しいことになってしまいます。そうした混乱やムダを取り除く上で、MECE(ミーシーまたはミッシーと読みます)という考え方が重要と言われています。

MECEとは論理学の世界で「モレもダブリもない分類」を表します。

たとえば、先の自動車の分類を考えてみましょう。

排気量や車体サイズ、車名のABC順、生産メーカーや生産国などのカテゴリーで分類すれば、1つの車は必ずどれか1つのグループに属することになり、モレなくダブリなくの状態になります。もう1つの例として、利用者を分析した説明資料を想定してみます。

「本製品の利用者は、すべて女性。うち、OLが40%、学生が30%、主婦が15%」といった場合、実はモレダブリが発生しています。

職業分類でユーザを分析すると、一見、よさそうなのですが、OLでも、学生でもない、未婚の女性はどの分類にも該当しませんし、主婦だけど学生、OLだけど学生というダブリも存在して、論理的に分析できているとはいえません。

ここでモレダブリがないものとは次のようなものです。

「本製品の利用者は、すべて女性。20歳未満が25%、20代が35%、30代が15%、40歳以上が25%です」

この例の場合、年齢というMECEな軸で分類していますが、他にも、所在地、所得、既婚か未婚か、などで分類することもできます。

客観性があり、誰もが同じように分類できる軸、それがMECEのメリットです。

「最近、流行っている」の根拠は?

説得力のある資料には客観的事実が必要不可欠です。

この客観的事実に大きく寄与するのが、「数字」の記載です。

人間というのは、最近自分の体験したことに引っ張られて、全体像の把握がかたよることがよくあります。

私も、立て続けに2~3件、同じような商品をたまたま店先で発見すると、つい「どうやら◯◯がブレイクしているみたいだよ!」とオーバートークになってしまいます(ちなみに、こうした心理バイアスを「ハロー効果」と呼ぶそうです。気をつけたいものですね)。

仕事の話でも同じ。たとえば、立て続けに顧客がサービスを解約するという話や自社サービスへの不満を聞いたとします。

あなたは、「こんなサービスじゃダメだ、どんどんお客様が解約していくぞ」とネガティブな面に引っ張られます。

実際に、このお客様が不満を持っていることも、解約することも「事実」ですが、だからといって「サービスが危機的状況だ」「みんな、どんどんやめていく」ということには必ずしもなりません。

もし、上記の体験に引っ張られて、資料にもそのような記載があると、皆、不安になってあなたに質問すると思います。あなたは自分の体験を話して、それがあたかも全体像のように伝えることになるかもしれません。

印象と実態はちがうことのほうが多い

しかし、数字は、感情に左右されることはありません。

前述のような顧客の不満や解約問題を資料に提示するのであれば、しっかり、過去の顧客満足の調査結果や全体の顧客数に対する解約顧客数の割合(解約率)などをはじきだして、そのトレンドが明らかに増えていることをグラフなどで指し示す必要があります。

逆に、実際に数字でチェックしてみると、たしかに一定数の顧客の解約はあったとしても、そのトレンドは増加しているわけではなく、むしろ改善しているというケースもあり得るのです。

そのときの正しい説明は、「解約率は改善しているものの、いまだに解約数は一定以上あり、解約理由はサービスへの不満である」ということになるでしょう。

数字を見るときには、その計算ロジックに目を光らせましょう。うまい具合に都合のいいサンプルから出しているだけの結果も多いからです。

また、自分で資料に数字を入れる場合は、するどい人がその計算ロジックを質問してきますから、答えられるようにしておく必要があります。

自分の考えなのか、それとも客観的な事実なのか?

この問いは、ビジネス現場のあらゆるところで出てきます。自分なりに「これは自分の印象、これは事実」と分別できるようにしておきましょう。

永田豊志
知的生産研究家/株式会社ショーケース・ティービー共同創業者兼取締役副社長。九州大学卒。リクルートで新規事業開発を担当。その後、出版社や版権管理会社などを経て、株式会社ショーケース・ティービーを共同設立。創業11年目で東証一部上場へ導いた。現在は取締役副社長として、経営全般を指揮している。

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