米国のベビーブーマー世代(71歳から53歳くらい)間で「自分の家が大き過ぎて売れない」という不安感が広がっているという。
現在市場に出回っている大型住宅の件数は昨年から2%増えているが、問い合わせ件数は手頃なサイズの物件よりも12〜45%少なく、買い手がつくまでの期間も平均50日長い。
逆に小さい家は飛ぶように売れているそうで、より低コストな小さめの家に買い替えたい高齢者あるいは定年退職を目前に控えた世代にとって、苦難の時期となりそうだ。
80〜90年代にかけて購入した物件は「時代遅れ」?
不動産サイト「realtor.com」のデータによると、約269〜371平方メートル規模の大きなファミリー向け物件へのアクセス件数や売却までの期間は、今年に入り急激に低迷している。
家が大きくなればなるほど、設備が多くなれば多くなるほど価格は上がる。購入後の維持費も高額だ。そこまで経済的に余裕がある買い手は限られている。
ベビーブーマー世代が退職期を迎えた米国では、新たな購入層であるミレニアル世代や初めてのマイホームを購入する若い家族は、価格もサイズも手頃な物件を選ぶ傾向が強い。ごく自然の成り行きだろう。
ニュージャージーの不動産仲介業者RE/MAXホーム・タウン・リアルティで高級不動産の販売を担当しているメリッサ・ルビンスタイン氏は、「定年退職を目前に控えたベビーブーマー世代が80〜90年代にかけて購入した物件は、今の市場では非常に売れにくい」と語っている。
これらの物件は価格以外にも、時代の需要に見合っていないという難点がある。1階に寝室やバスルームを設備していない物件が多く、高齢化など近年の風潮を考慮すると「完全に時代遅れのデザイン」ということになる。