ロシア政府がICOを含む仮想通貨に関する規制の方向性発表した。2018年7月にかけて、ビットコインに代表される仮想通貨の定義やスマートコントラクト技術、ICOによるトークン発行などについての規制ワークフレームが議論される。

現時点では採掘者に登録を義務づける法案や課税が検討されているほか、ブロックチェーン技術者向けのサンドボックスの設立なども計画中だ。

「ユーラシア経済連合でFinTechを加速させる」

政府が発表した「今後の課題書類」によると、今回の本格的な仮想通貨環境の整備は「ユーラシア経済連合(ロシア、アルメニア、カザフスタンなど5カ国が加盟する経済同盟)に新たなFinTechを取り入れる」ことを目的に実施される。

ロシアでは過去数年にわたり、仮想通貨をめぐる賛否両論が繰り広げられていた。しかしプーチン大統領が規制当局の上級当局者と正式な会議の座を設け、最終的な規制を導入する方向性に合意したことで、事態は飛躍的な進展を遂げると期待されている。

アントン・シルアノフ財務大臣は会議にあたり、仮想通貨をめぐる環境に対する規制の重要さを主張していた。

会議にはアンドレイ・ベロウソフ大統領補佐官や経済学者でもあるエリヴィラ・ナビウリナロシア連邦中央銀行総裁などの政府関係者のほか、決済企業QIWIのセルゲイ・ソロニンCEOなどが出席した。

仮想通貨に対応可能な環境整備が優先課題?

ロシアでは仮想通貨の利用廃止が繰り返し論じられていただけに、今回の動きは前向きなものとして受けとめられているようだ。法案提出は規制当局内部で合意に達せず、先送りになると報じられていた。

RT などのメディアの報道 によると、政府が公表した書類では詳細が明らかにされていないものの、プーチン大統領自らが仮想通貨への課税を含めた規制ワークフレームの導入を命じたという。

プーチン大統領自身は、必要以上の警戒心から仮想通貨の潜在性を打ち消す姿勢を否定する一方で、仮想通貨に対応可能な環境整備を優先課題と見なしているようだ。これまでにも規制されていない状況下における仮想通貨の危険性に警告を発してきた。

それゆえにロシアで最終的に導入される規制は、あらゆる仮想通貨関連の動きを政府が管轄下に置くというものになるのではないかと予想される。

サンドボックスの設立はロシアのブロックチェーン開発力を加速させる上で、大きく貢献するだろう。これは「革命的な金融サービスに実験の場を提供する」という支援の一環で、企業への規制枠を緩和することで、イノベーションを後押しする意図がある。英国で2016年に開始された「規制サンドボックス」などと共通する発想だ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

FinTech online編集部

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