適用できないケースや注意する事
高額療養費制度の適用対象は治療費と薬代です。自分で希望した差額ベッドは適用対象外になります。また健康保険が適用されない保険外併用療養費の自己負担分、美容整形などの自由診療や先進医療も高額療養費制度は利用できません。入院時の食事代も対象外です。
その他の計算上の注意点をあげておきます。
・同じ月内(1日~末日)の計算になります。
・同じ医療機関ごとの計算になります。
・同じ医療機関でも医科と歯科は別計算になります。
・同じ医療機関でも入院と外来は別計算になります。
・入院の場合、同一の診断・治療でも医療機関によって医療費の総額が異なることがあります。
また世帯合算というものがあります。
同一世帯で2人以上の方の同一の月における一部負担金が、それぞれ21,000円以上の場合には、それぞれの額を合算できます。また同一の人が別の病院にかかった場合でも、それぞれ一部負担金が21,000円以上であれば合算できます。
入院にかかる費用
よく入院すると1日平均2万円かかると言われますが、その金額は高額療養費制度適用前の平均金額です。高額療養費制度により医療費そのものの自己負担はそれほど大きくはなりません。また医療費以外の主な費用として以下のものがあります。
・差額ベッド代(公的医療保険で決められた室料との差額、大部屋は自己負担なし)
差額ベッド代の相場は1日5000円前後です。
・入院時の食事代、家族の交通費、日用品 等
医療保険は必要か
近年では入院の短縮化が進んでいます。精神病床を除いた一般病床の平均入院日数は20日弱です。
差額ベッド代5000円×20日=10万円。これに医療費の自己負担分を約9万円として入院にかかる費用は約19万円になります。
また健康保険組合によっては独自の付加給付があり、さらに自己負担額は少なくなります。自己負担分の上限が2万円台のところもあります。
他にも健康保険には病気やケガで長期の就業不能の状態になり給与がもらえない場合、給与の3分の2に相当する金額を最長1年6ケ月まで支給される「傷病手当金」もあります。
まずは健康保険や会社の福利厚生をよく理解して、それを上手に活用することが大事です。19万円でしたら医療保険に頼らず、貯蓄で備えると割り切るのも一つの考え方です。
もし民間の医療保険に入るとしても健康保険を補完するものとして必要最低限におさえるのが良いと思います。