自己の能力を磨くため、中小・ベンチャー企業への転職を希望する場合、実際に入社してみると理想と現実のギャップから転職を後悔する方も少なくありません。そこで、中小・ベンチャー企業への転職にあたって、失敗しないポイントやリサーチの方法について紹介します。また、よくある失敗例なども参考に、後悔のない転職を目指していきましょう。

転職理由を明確にしよう

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(写真= TierneyMJ/Shutterstock.com)

転職の際に最も重要なことは、転職理由と目的を明確化しておくことです。人によっては漠然と前の職場が嫌になって感情のまま転職を考えますが、目的に合った転職先を事前にリサーチしなければ転職した後に後悔してしまうことも少なくありません。場合によってはストレスなどで体調を崩し、仕事を続けられなくなるケースもあるため、事前の自己分析が必要不可欠となります。

中小企業への転職理由としては、主に仕事のやりがいや人間関係に関することがあげられます。特に大企業に勤めている場合、たとえ給料や福利厚生などの待遇が悪くなろうとも、自己成長の機会が欲しい人や能力主義を求めている方は、中小企業への転職が選択肢に入ってきます。

ただし、企業というものは転職前に描いているイメージと入社してからのイメージに大きなギャップがあるものです。事前に余裕を持って情報を集め、転職後の働き方についてなるべく具体的に考えておきましょう。

よくある失敗例とは?

中小・ベンチャー企業は仕事の幅が広く、若いうちからある程度裁量を持つことができ、能力によって重要なポストに抜擢されることも可能というイメージがあります。たしかに大企業と比較すると、会社によってはやりたいことがやりやすい環境にあるかもしれませんが、転職前にしっかりとリサーチしておく必要があります。

中小企業への転職でよくある失敗としては、いざ転職してみるとイメージと違い、大企業よりも厳しい年功序列だったケースがあります。また、社長のワンマン経営に従わなければならないケース、待遇はいいがハラスメントが横行しているといった場合などがあげられます。

また、人間関係に悩んで転職してきたはいいものの、大企業からの転職の場合、周りの社員に嫉妬心や対抗意識を持たれ、かえって仕事がしにくくなる場合も珍しくありません。

また、中小・ベンチャー企業の場合、業界の将来性についてリサーチすることも重要です。すでに基盤を作り上げている大企業とは違い、中小企業は今後の展開が重要になってくる場合が多いです。せっかく組織がしっかりしていても、先細りの業界では経営が行き詰まる可能性が高く、独立するにしても業界自体の将来性に不安が残ります。

転職前にはなるべく多くの時間を企業研究・業界研究に費やし、理想と現実のギャップを埋めていくことを心がけましょう。

転職先のリサーチ方法とは?

転職前のリサーチとしては主に以下のような方法があげられます。

・ IR情報の確認
・ 企業のSNSやブログの確認
・ 働いている人に話を聞く
・ 専門誌や業界新聞をチェックする

企業のホームページにはIR情報が記載されており、そのなかにある有価証券報告書をチェックすると平均の年間給与や勤続年数、年齢、退職金など企業のあらゆる情報を確認することが可能です。また、同じく記載されている業績の推移などで将来の企業の展望を予測することが可能となります。

また、最近ではホームページ以外に、SNSやブログで情報発信する企業も増えてきています。IR情報のような客観的な情報とはまた違った視点で情報収集できるため、ぜひチェックしておきましょう。できれば実際に働いている人にも話を聞くことで、社内の雰囲気や文字に起こしづらい抽象的な情報も得ることが可能です。中小企業では明文化されていない規則が設けられていることもあるため、なるべく直接話を聞く機会をもうけましょう。

企業のリサーチだけではなく、業界のリサーチとしては専門誌や業界新聞に目を通すことをお勧めします。特に、未経験の職種に転職を考えている方にとっては非常に重要で、ネットでは確認しにくいこともあって面接時のアピールポイントとしても利用することができます。

調べてみるとリサーチ方法はさまざまにあることがわかりますが、しっかり情報を集めようとすると思った以上に時間がかかるものです。余裕を持って計画的に転職の準備を進めていきましょう。

大企業から中小・ベンチャー企業へ転職する際の心構え

中小・ベンチャー企業は大手企業に比べると体系的な研修制度がない場合も多く、「教えてもらえる」というスタンスで入社すると行き詰まってしまうこともあります。自ら質問する、他の人の行動を見る、などといった主体的な動きが必要となる場合もあります。

中小・ベンチャー企業への転職に関して、事前の情報収集はもちろん重要ですが、大手企業とのギャップにも気を付けましょう。(提供: あしたの人事online

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