東京都内には「草間彌生美術館」「三鷹の森ジブリ美術館」など、従来の美術館の枠にとらわれない、個性的な美術館が次々とオープンしています。子どもから大人まで、そして芸術にあまり興味がなかった人でも夢中になれる、そんな美術館を紹介します。
続々オープンするユニークな美術館
2017年10月、新宿区弁天町に開館した「草間彌生美術館」は、前衛美術家として知られる草間彌生氏の作品を集めた美術館です。館内には、草間彌生を象徴する水玉やカラフルなモチーフであふれかえった空間が広がります。入場は日時指定の予約制となっており、チケット発売後数日で翌々月の予約が埋まってしまうほどの人気の高さです。
開館記念展となる第一回の展示として、「創造は孤高の営みだ、愛こそはまさに芸術への近づき」を2018年2月25日まで開催し、その後も年2回にわたりコレクションを展示します。
一方、葛飾北斎の作品を展示するために2016年11月22日にオープンしたのは「すみだ北斎美術館」です。北斎は江戸時代を代表する画家として、そして海外の有名芸術家も影響を受けた画家として広く知られています。オープンから5ヵ月となる2017年4月末には入館者数が20万人を突破するなど、その注目度の高さがうかがえます。
館内では北斎の作品を紹介するタッチパネルや北斎が使用していたアトリエの模型などを常設展示されていて、さらに歌川広重より30年も前に北斎が手掛けた「東海道五十三次」の展覧会、北斎の代表作「富嶽三十六景」「富嶽百景」の展覧会など、イベント展示も多数行われています。
他にも、エレベーターの設置工事に伴い一時休館となっていた「東京都庭園美術館」が2017年11月18日に再オープンすることが決まっています。
作家に特化した美術館たち
三鷹市にある「三鷹の森ジブリ美術館」は、名前の通りスタジオジブリの作品に特化しており、2017年1月に入館者数が1,000万人を突破した人気の美術館です。ジブリの短編アニメを上映するプチ映画館や、館主の宮崎駿氏と美術館イチオシの絵本などが自由に読めるコーナーも設けられています。
ユニークな企画展示も好評で、2017年5月から2018年5月(予定)にはジブリ映画では欠かせない食事のシーンをピックアップした展示「食べるを描く。」が開催されています。
また1977年9月に開館した世界初の絵本美術館として長く愛されているのが、練馬区にある「ちひろ美術館・東京」です。多くの人に親しまれている、いわさきちひろ氏の作品はもちろん、正確に復元した同氏のアトリエなどが展示されています。作品の解説が聞けるギャラリートークのほか、「子どものための鑑賞会」や「わらべうたあそび」といった親子で楽しめるイベントも定期的に行われています。
2017年3月からは開館40周年記念の展覧会が開催され、11月8日~2018年1月31日には第4弾として「ちひろの歩み」と「日本の絵本100年の歩み」の展示を予定しています。
東京大学そばの「弥生美術館・竹久夢二美術館」では、モダン版画や漫画の原画、ファッションイラストなどを展示し、どこか懐かしいのに新鮮な大正ロマンに浸ることができます。
従来型美術館の人気展覧会は?
一方、従来型の美術館ではさまざまなジャンル・画家を扱った展覧会で多くの人の目を楽しませています。
「東京都美術館」は、人と人とのつながりをアートで実現する「アート・コミュニケーション・プログラム」活動を行っている美術館です。2016年4月22日~5月24日に開催されていた「生誕300年記念 若冲展」には、東京では初の試みとなる3幅の「釈迦三尊像」と30幅の「動植綵絵」が展示されました。会期は約1ヵ月と短かったものの、同年開催された展覧会の中でも5番目となる入場者数44万6,242人を記録しました。
同じく東京都美術館で2016年10月8日~12月18日に開催された「ゴッホとゴーギャン展」では、2人が最高傑作と称した「収穫」2点など、ゴッホとゴーギャン、それぞれの初期から晩年に至るまでに完成させた油彩画が展示されました。この展覧会は、2ヵ月ほどで39万1,721人の入場者数を記録。日本初の展覧会ということもあり、多くの観客が展覧会へ足を運びました。
日本で最も広い1万4,000平方メートルもの展示スペースを有する「国立新美術館」も、代表的な従来型美術館の一つです。2016年9月14日~12月12日の約3ヵ月開催されていた「ダリ展」には、38万8,557人が訪れています。展覧会では世界のダリ・コレクション所蔵品と日本所蔵の作品、併せて250点ほどが展示され、およそ10年ぶりの日本開催となったことからも注目を集めたようです。
たくさんの人に愛され続けている美術館から現代的な作品を集めた美術館まで、東京には個性あふれる魅力的な美術館がたくさん存在しています。美術館というと少し堅苦しいイメージがつきものでしたが、近年ではユニークな展示で注目を集める美術館も増えてきました。この機会に美術館で芸術に触れてみてはいかがでしょうか。
(提供:JIMOTOZINE)