シンカー:10月の鉱工業生産指数は前月比+0.5%と、9月の同-1.0%からのリバウンドしたが、予想より弱かった。テクニカルには、10月に二度の台風が本州に上陸し、物流の滞りから生産が先送りされた可能性がある。トレンドとしては、輸出環境の追い風が生産の増加の支えになっているとみられる。IoTなどの産業変化もあり、データセンサーや車載向けの部品などの輸出が増加を続けている。更に、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせるとともに、円安をともなう競争力の改善を反映して世界貿易に対する日本のシェアも上昇しているとみられる。人手不足は深刻であり、需要の増加に対する供給の対応を整え収益機会を逸失しないため、企業は生産性を向上させることが急務となっている。そして、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。生産の増勢が、外需から内需を中心に裾野が広がってきているとみられる。11月の経済産業省の誤差修正後の生産予測指数は前月比-0.1%と横ばい圏内だが、10月がテクニカルに下振れた分だけ押し上げられ、実際にはしっかりとしたプラスとなる可能性が高い。12月の予測指数は同+3.5%と強い。予測指数を前提とすると、10-12月期の生産は前期比+1.6%と7四半期連続で増加し、7-9月期の前期比+0.4%から増勢が加速する可能性が高い。好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりとしていると見てよいだろう。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

10月の鉱工業生産指数は前月比+0.5%と、9月の同-1.0%からのリバウンドした。

10月の生産は誤差調整後の経済産業省予測指数の同+2.4%を下回り、予想よりリバウンドは弱かった。

テクニカルには、10月に二度の台風が本州に上陸し、物流の滞りから生産が先送りされた可能性がある。

10月の出荷が同-0.5%と減少し、在庫が同+3.1%と増加していることが、テクニカルな要因が強かったことを示している。

トレンドとしては、10月は実質輸出が同+2.6%と、9月の同-5.4%からリバウンドしたことが生産の増加の支えになったとみられる。

これまではIT関連財を中心とする生産・在庫循環のグローバルな好転に支えられていた。

その動きが一服した後は、IoTなどの産業変化もあり、データセンサーや車載向けの部品などは増加を続けている。

更に、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせるとともに、円安をともなう競争力の改善を反映して世界貿易に対する日本のシェアも上昇しているとみられる。

日本の輸出環境には追い風が吹いている。

更に、総選挙による連立与党の勝利を経て、政府は2020年までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」として「大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員する」方針となり、投資活動を促進すると考えられる。

人手不足は深刻であり、需要の増加に対する供給の対応を整え収益機会を逸失しないため、企業は生産性を向上させることが急務となっている。

そして、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。

10月の資本財(除く輸送機械)の生産・出荷の前年同月比は+7.7%・+5.4%と強く、在庫は同-6.0%と減少し、生産活動は強い。

雇用の増加と賃金の上昇を背景に、消費活動がしっかりしてきている。

生産の増勢が、外需から内需を中心に裾野が広がってきているとみられる。

11月の経済産業省の誤差修正後の生産予測指数は前月比-0.1%と横ばい圏内だが、10月がテクニカルに下振れた分だけ押し上げられ、実際にはしっかりとしたプラスとなる可能性が高い。

12月の予測指数は同+3.5%と強い。

予測指数を前提とすると、10-12月期の生産は前期比+1.6%と7四半期連続で増加し、7-9月期の前期比+0.4%から増勢が加速する可能性が高い。

好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりとしていると見てよいだろう。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司

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