日経平均予想レンジ22,515~23,000円

今週は、米国株安の流れを引き継いだほか、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都認定による中東情勢の懸念浮上やドル円が円高気味に推移したことが重しとなって日経平均は3日続落から9/11以来下値支持線の25日線を下回った。その後は、米国市場の落ち着きを背景に、自律反発から今週の下落分を取り戻した。

海外の焦点

米国株は、NYダウが史上最高値を更新する一方、ナスダック指数は反落し明暗が分かれた。NYダウの続伸は、出遅れ感のあった金融株に買いが入ったことが寄与し、ナスダック指数の反落は、先駆していたハイテク株に利益確定売りが出たことが影響した。米国株の主流はやはりナスダック指数。今後ナスダック指数が反発するのか、それとも続落するのかで米国株の方向性は示されそうだ。

テクニカル面では、9月から25日線を下値サポートに水準を切り上げてきただけに、明確に下回ると上昇トレンドに一服感が台頭して調整局面入りが強まる可能性が強い。ただ、経験則では12月は上昇しやすい月なので、25日線が下向きにならない限り、上昇基調に変化はないと考えている。

一方、トランプ大統領とロシアとの不透明な関係を巡る疑惑でFBIに虚偽の供述をしたとして追訴され、虚偽供述を認めたフリン前大統領補佐官がトランプ氏自身が大統領就任前にロシア側に接触するよう指示したと証言する意向が報じられるなど、トランプ政権のロシア疑惑の広がりへの警戒感は怠れない。また、米税制改革法案を巡っては、上院共和党が下院案を一本化し、クリスマス休暇前に法案成立を目指すなど、その進展を注視するムードは強まっている。

国内の焦点

日経平均は、25日線を下値サポートに切り上げていたが、6日に25日線を下抜けた。週末には急落の反動もあり回復を見せたものの、5日、25日線のデッドクロス接近で維持力が試される。11/19の売買代金は5兆円の大商いとなり、この日買った向きの売り圧力が上値抑えとなり、高値更新には日柄を要する可能性が指摘される。

一方、経験則通り「魔の水曜日」はメジャーSQを前にしたポジション調整が急落の一時的要因と受け止め、週末に再び25日線を上回ったことで、相場の底堅さが示されたといえる。米国の政治案件も総じて前向きな方向であり、投資環境改善から年末高に向けた株高傾向継続が期待される。

来週の株式相場

以上、来週はメジャーSQを通過し、需給の安定に加え、海外情勢の落ち着きを背景に調整一巡から23,000円挑戦の展開と捉えている。日経平均のレンジは、上値は節目の23,000円が意識され、下値は12/7窓埋め22,515円が目処となろう。

株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト