毎月1回マネックス証券チーフ・ストラテジスト 広木隆氏に今後の株価動向などを直撃します。(動画公開日 2018/01/10)

米国長期金利の上昇 グレート・ローテーション本格始動の兆し(2018年1月版)

こんにちは。2018年最初の月刊マーケットの歩き方をお届けしますけれども、今年始まって数日たってますが、暦ベースでは10日ですが、日本株の取引き日でいうと今日で始まって大発会が4日、三連休があったので今日でまだ4日め。ただ大発会で700円以上あがりましたし、翌日も200円もあがり、最初の2日間で950円近くあがり、さらに昨日も上がった。年明けから三連騰というのは8年ぶり。この数日間で1000円あげちゃったという成績のいいスタート。これが今年は株の年という予感させるスタートではないかなと。

日本株がこれだけいい理由の一つでもあるのですが、米国株もよくて。NYダウ平均の2万5000ドルという未曽有の水準から今年スタートしているわけです。これもまたすごいスピードで、昨年の11月末に2万4000ドルをつけたと思うと、わずか1ヵ月で、営業日でいうと二十数日で1000ドルあげて大台替わりしているという。

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今年のスタート、ダウ平均も25000ドルの大台ですが、ナスダックも再びハイテクの大幅高というのもありました。それからこれも後で触れますが、ようやく金利が上昇してきて、金融株が大幅高になっている。ハイテクであり金融であり、東京市場でいえば出遅れていた不動産であり、いろんなところに物色がまわってきていて、とにかく株の全面高が続いていると。

今年中、この先もずっとテーマであるのは、この株高がどこまで続くんであろうかということだと思いますけれども、そのなかで利上げが急がれないと。先般でた米国の雇用統計もですね、雇用者数の伸びが予想を下回ると。ただ前回分が上方修正されて、ならせばそこそこの堅調な数値になっている一方で、賃金は相変わらず2.5%前年比とにぶい上昇であることからですね、FRBは利上げをそんなに急がないだろうという見通しになっています。

結論からすると何もかわってない。リスク資産を選好している株式の資産は、非常に強気である一方、債券はほとんど投資を引くというのが前回からの状況です。今月のキーワードで書いてありますが、米国の長期金利が上がってきました。これでいよいよ債券に滞留していたお金が本格的にリスクアセットのほうに移ってくる。いわゆるグレートローテーションというのが鮮明になってくるんじゃないかなというのが今回のテーマであります。

久しぶりに出てきた「金利上昇」という芽

マーケットの歩き方(2018年1月)
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これを見ていただきますと、米国の長期金利、節目の2.5%を抜けてまいりました。これは債券王とよばれたビル・グロスは2.6%がターゲットといっていたようですが、ほぼほぼ2.5%の節目をを抜けた時点で、これはベアマーケット入りだというようなコメントがブルームバーグに流れていました。

背景は米国で税制改革が決まり、今後、一部は設備投資に回ったりとかそういうところにお金が使われ始める。レパトリ減税も決まっていますから、お金が戻ってきたときに自社株買いにどれだけ回るかも注目ですが、実際設備投資もでてくるだろうと。即時償却も認められるので。そういったところで米国の景気がさらに加熱してくるというのが、根底にありますが、直接的にこれを動かしたのは実は日銀のオペレーションで。日銀が超長期債の買い入れを見送ったことから出口観測みたいなものが一部でくすぶって。それが昨日の大幅な円高につながっているわけですけれども、日本発の金利上昇みたいなかっこうになっているわけですよね。

ただ実際のところはどうか分かりませんが、やはり久しぶりに金利上昇という芽が出てきたと。これは2016年に、というと一昨年のことですが、英国が国民投票でEU離脱を決めた例のBrexitの直後に実は金利の世界というのはボトムアウトしているんですが、2016年後半は金利が上がるような世界だったわけですが、そこからしばらく方向感なくなっていましたが、ようやくここにきて金利上昇の兆しが出てきたと。

これが上がりすぎると景気にも株式にもよくないんだけれども、動かなかった金利が上がりだしたというのは債券から株へのシフトということで、当面のところは株式が選好されてくるという合図なんじゃないかなと思います。

なので今月はアロケーションの変更はありませんが、リスク資産を選好すると。明確に、金利が上がり始めたということは債券が売られ始めたということなので、ここからお金が株式のほうにシフトしてくるだろうと。これまでどおりのリスク資産選好、安全資産である債券に対して弱気な見方で臨むということでいいだろうと思います。

ぜひ資産配分のご参考にしていただければと思います。

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(情報提供:マネックス証券)

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