ネット古物商でもリピーターを獲得するには、「接客サービス」が重要なポイントになります。お客がまた来たくなるお店のつくり方やお客も喜ぶ委託販売などを学んでいきましょう。
(本記事は、泉澤義明氏の著書『プロが教える儲かる「ネット古物商」の始め方』=ぱる出版、2018年1月10日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
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フリーマーケットでは仕入れも販売もできる
フリーマーケットも儲けられる場所の1つです。私も古物市場を知らないときは、仕入れをするためにフリーマーケットに行っていました。
フリーマーケットは商品を捨てるのはしのびないと思う方が参加されるので、本当に安く購入することができます。
また、私に古物市場というものを教えくれた方は、古物市場で購入したものをフリーマーケットで販売することで「儲け」を出していました(これで利益を出しているのですから、いかに古物市場で超安く仕入れることができるかが、おわかりになるかと思います……)。
ネットで高く売れなかった物がフリマで高く売れることも
私もお店を持つ前には、フリーマーケットでは、仕入れるだけではなく販売もしていました。
ネットではあまり高くならない商品が、フリーマーケットで販売することでネットより高く売れる商品が多々あります。
また、仮にネットで1000円くらいの商品を販売する手間を考えると、フリーマーケットならもっと効率良く売れる商品もたくさんあります。
ネット販売では1000円くらいの値段でしか売れない商品が、フリーマーケットならその2倍、3倍の2000円、3000円で売れるということもあるのです。
もっと売りたいなら大型フリマに参加しよう!!
フリーマーケットに参加するなら、大型のところに参加するといいでしょう。なぜなら、大きなフリーマーケットは、出す人の人数も多いですが、購入する人もたくさん集まるからです。
当然、小さなフリマに比べたら売れる確率は高まります。そうした大型のフリーマーケットですと、その人気はすごくて、開始9時となっていても、開始時間前から購入してくれます。
そこには、リサイクルショップの人、ネット転売する人など、プロの方や副業をしているセミプロの方が買いに来ることも多々あります。
また、せっかくの商品を持って帰るのもいやなので、終わり間際などには捨て値で売る人も出てきます。場合によっては、無料でいただけることもあります。
フリーマーケットは、副業で古物商をするには、十分稼げると思います。
仕入れをする商品は「自分の好きな物」に絞ってみる【副業編】
仕入れる商品はやはり、自分が好きな物、よく知っているジャンルを選んだほうがいいでしょう。
なぜなら、どこが特徴なのか売れるポイントも熟知しているので、当然、販売も良い結果につながるからです。
自分はファッション系が好きということであれば、衣類やブランド品を仕入れてみるということです。
自分の好きな物は、その価値をよく知っているだけに、仕事とは言え、ネットで検索をするだけでわくわくしてきます。それが良い結果につながりやすいのです。
精密機器が好きという人であれば、修理して売ることでより大きな儲けを生む可能性もあります。
たとえば、パソコン、スマホ、カメラの精密機器などは、ジャンク品として販売されている商品を安く買い、修理をしたり、きれいにクリーニングをしてピカピカに磨きあげることで、より高く販売することができるのです。
そうして仕入れたジャンク品の中には、稀に動作確認をしたところ、きちんと動くものが混ざっていることもあります。
これは、その商品に詳しくないために、扱い方がよくわからず、実際は動くのに、動作確認をすることできなかったので、あとでクレームになるのも面倒なので、まとめてジャンク品としてネットで販売した、というケースです。
また、リアル店舗でも、まだ使える、動く状態の商品でもジャンク品として扱われている商品もあります。
型落ちの商品の中には、最新の物よりも人気がある物もあり、ネット相場が高くなっている商品もあります。
そうした中から「お宝」を探し出せる確率は、その商品が好きな人、詳しい人のほうが断然高くなります。
仕入れる商品は自分の好きな物を扱ったほうが良いと言ったのは、好きな商品であるがゆえに、動作確認などの手間も苦にならないからです。
たとえば、ジャンク品から部品を安く買い取り、修理をしてパソコンなどの精密機器などを販売している方もいます。
また、最初は好きではなかったのだけれど、売れるから好きになった、という物もあると思います。
私は、副業を始めるまではブランド品などはまったくと言っていいほど知りませんでした。
ブランド品は、女性・男性に限らず人気があり、高いお金を出しても手に入れたいと思わせるだけの人を魅了する価値があるのだということを、リサイクルショップをやって初めて実感しました。
だから、今の私は、よく売れるブランド品が大好きです(笑い)。
お客も喜ぶ委託販売の儲けの出し方
現在私は、リサイクルショップを経営していますが、元々は、会社勤めをしながら、副業で始めて、半年後に会社を辞めて、ネット古物商一本で起業をしました。
起業してからは、ネット販売の他に、1坪ショップでお店経営の基礎になる部分を勉強したり、フリーマーケットで販売したり、委託販売のお店にも商品をお願いしたりしていましたが、3年間はネット販売、ヤフオクでの販売収入が収入の柱でした。
現在、私のお店は委託販売をメインにしてやっています。委託販売は、お客様より商品をお預かりして、商品が売れた後に商品代金から手数料をいただきます。
委託販売のメリットは、経営側は買い取り資金が少なくて済むということです。
逆にデメリットはどんな点かと言いますと、
・利益が買い取りと比べて少なくなる
・商品管理が買い取りと比べると大変
・販売できれば問題ないのですが、販売ができなかった場合は、保管・返却・時間などの手間のコストがかかる
などです。
委託販売を行なっているお客様のメリットは、実際にお店に並べて売るわけですから、売上金額から手数料を差し引いたとしても、買い取り金額よりも多くの金額が手に入ります。
また、委託しているとは言え、自分でも販売しているという疑似体験ができるため、「売れる・売れない」「いくらで売れたか」といったわくわく感が得られるため、大変喜んでいただけます。
現在は委託販売をしているお店は少なくなってきているため、当店をご利用されているお客様には大変喜んでいただいております。そのためかリーピートしていただくお客様が多いです。
また来たくなる「ネット古物商の接客サービス」が儲かるお店をつくる
商売の基本は、「安く仕入れて高く売る」これがセオリーであり、正しいのは間違いないのですが、このセオリーがすべて通用するかというと、そうはいかない場合もあります。
たとえば、買い取りです。この場合、商売のセオリー通りにすれば、より安く買うのが正解ですが、お客さんの感情はどうでしょうか。
不用品を売りにきたわけですから、顔には出しませんが、「こんなに安く買いたたいて!もう来ないわ」「人の足元を見て!」と思うのが人情でしょう。
これでは次につながりませんから、儲けにもつながりません。
買い取りをする場合、安く買ってばかりいるとお客様に不満が残ります。
これでは、継続していくのが目的である古物商の商売にとってあまり上手なやり方とは言えません。リピートにもつながらず、ましてや他のお客様を紹介してくれるところまではいきません。
そこで、買い取り金額だけで勝負するのではなく、他の差別化できる部分がないか知恵を絞ることが大切です。
たとえば、
・買い取りのスピードをより速くする
・また来店したくなるようなホスピタリティ溢れる接客サービスなどで差をつける
といった点を差別化することで、顧客をリピーターにして上手く経営している所もあります。
「古物商の人間力、魅力的なキャラ」がお客様をファンにする
専門出張買い取り店を経営している知人に、大変上手くいっている方がいます。仮にカリスマ古物商のAさんとしましょう。
カリスマAさんの商売スタイルは、出張買い取りが多いのですが、Aさんが行くと大変喜ばれるそうです。なぜかと言えばお客様はAさんのファンなのです。
ではなぜAさんのファンが多いのでしょうか。お客様は、商品を売るときに、Aさんのホームページやブログそしてユーチューブを見て、商品に対するAさんの熱い想いや気持ちを理解して、この人に売ると決めてから連絡してくるのです。
なので、お客さんのところにお伺いしたときには、値段の話はほとんどすることはなく、大部分の時間は、商品についての話や商品の想い出話に費やされます。
そして、最後にこの金額になると言うと、納得していただけるということでした。ザイアンスの法則と言われているものがあります。
これは、人は会う回数が増えるとより好意的になるという法則です。皆さんも、初対面の方だと緊張するけれど、何度も会ううちに親しくなったという経験があると思います。
それと同じで、Aさんは、実際に会わずとも、お客さんにブログやユーチューブを見てもらうことで、信頼関係を作っているのです。
この場合、Aさんのように商品に対する気持ちや想いをブログなどでどれだけ伝えられるかがポイントになります。
「はたし」と呼ばれる古物商の稼ぎ方
古物市場は不良在庫を処分するにも最適な場所です。古物市場は買うだけではなく、売ることにも使えます。
ヤフオク、メルカリよりも高くなる商品もたくさんあります。古物市場をわたり歩く人を、「はたし」と呼びます。
市場によって商品の値段が違いますので、その差額で儲けるのです。つまりは、古物市場の間で行なう”転売”です。
月曜日から日曜日まで、全国の市場を飛び廻って、個々の古物市場における物の相場を熟知している古物商だからこそできる、売り方・儲け方です。
古物商で成功するためには、大繁盛店に学ぶのが一番の近道だ
お店をやる場合は、同業の古物商のお店はもちろん、飲食店や繁盛しているお店に行ってみるのはとても勉強になります。
流行っている店は絶対何か他のお店と違うことをやっているものです。そこを見るだけでも勉強になります。
リサイクルショップをやるにも、看板もそうですが店内のポップの書き方ひとつで商品が売れたり、置く場所を変えただけで1か月売れなかった商品が売れることもあります。
買い取りの方も、ポップを変えただけで買い取りが増えたり、また購入する方に一声かけるだけでもだいぶ違います。
本当に客商売は、よく観察していても見逃してしまうような、”ほんのちょっとの違い”が繁盛店かどうかを分けるカギになります。
いろんな繁盛店にどんどん出かけて行って、商売のやり方を観察することをお勧めします。
また、私は、講座やセミナーにも積極的にどんどん行くようにしています。それは、同業の研究会であったり、サービス業の集客のコツを学ぶ勉強会であったりとテーマはいろいろです。
上手くいっているお店の法則をを学ぶことが、お店が上手くいくための一番の近道だと思います。
買い取りを通して、古物商の目も養われ、人脈も広がっていく
古物商になると、古物市場に行くことのほかに、もう一つとても重要なことができるようになります。
それは、買い取りができることです。私のようにお店を持たないと、買い取りはできないと思っている方もいるようなのですが、そんなことはありません。
私も始めた頃はお店もなかったですが、出張買い取りをしていました。どのようにしていたかというと、無料ブログを使って買い取りをしていたのです。
豊かな人脈が商売の武器になる
買い取りをすることにより、古物商としての経験がついてきます。買い取りを始めると、自分の専門外の買い取りも入ってくることが多くあります。
今まで知らない商品もどんどん入ってくるので商品知識が増えていきます。また、自分では買い取りをすることができない商品も、お客様の希望に答えるために、提携先や同業業の方を紹介してきました。
そうすることにより、今度はこちらがお客様を紹介していただけるようになるのです。
古物商には、家電のリサイクルも関わってきますので、街の電気屋さんと提携している方もいます。
その他にも中古の厨房機器はとても人気があり、またオフィス専門の買い取り、空調などのクーラーの買い取りなどなど、リサイクル品には色々ありますので、多くの提携先や人とのつながりを持っていることは古物商にとっては大きな強みになります。
あら不思議次から次へと不用品が出てくる古物商の「魔法のことば」
今までは捨てるのにお金がかかっていたものを、古物商に行って買い取りをしてもらって、その上お金までいただけるとなったら、お客さんにとても喜んでいただけます。
古物商の免許が取得できたら、古物市場に行くことと同時に、買い取りを始めてみましょう。
まずは、一般の方の買い取りを始めて見るといいです。買い取りに行ったときに、この一言があるとさらに良い結果につながるという魔法の言葉があります。
それは、一通り査定が終わった後に、「この他に不要な物、使わない物はございませんか?」と言うことです。この一言を言うとあら不思議、不用品が次から次へと出てきます。
たとえば、子供の要らなくなった、おもちゃを買い取ったあとで、他に何かありませんか? と言ったところ、そういえば、と言ってロレックスの時計が出てきました。
今は使っていないのでこういうのも取り扱っているのと聞かれました。
当時はその場で買うことができなかったので、一旦お預かりをして、翌日、先輩古物商の方に持ち込んでロレックスを調べて頂き無事買い取りをすることができました。
あるときは、キーボードの買い取りにお伺いしたのですが、この他に不要な物はありませんか?とまたまた魔法の言葉を使ったところ、そう言えば全然使っていないバッグがあるわ、と出てきたのがルイ・ヴィトンのバッグが出てきたこともありました。
「お客さんのためになることを本気でする」という当たり前のことを実践することが生き残る道だ
現在は、リサイクル店舗も増える中で、出張買い取り専門でやられている所もたいへん多くなってきました。
さらには新たに、メルカリなどの登場により、フリマアプリの登場により、競争が激しくなってきているのは周知の事実です。
ここで、重要になって来ているのが、お客様に対する細やかな接客サービスであり、専門性の高い知識、またこの人に任せれば大丈夫と思われる人間としての信頼性が何より重要になってきたのです。
この専門知識や接客サービスの技術はリアル店舗でも大事ですが、そうした差別化は古物商のホームページに反映させることも重要になってきます。
私が古物商で起業した10年前はホームページを作成するお金もあまりなかったのと、ネットのこともあまり詳しくなかったので、始めからお金をかけることができませんでした。
でも今はホームページ業者もたくさんあります。制作費も安いところから高いところまでピンからキリまでありますので、作成するときは、ネットに関することを勉強をしてから制作会社を決定すると良いと思います。
たとえば制作会社によっては、5万円ぐらいからできるところもあれば、100万円以上するところもあります。
また、初期費用0円などもありますが、支払い0円などの場合は、たとえば7年の月額リースとなっているところもあります。
また、作成をお願いするときは、数社のお話を聞くことをお勧めします。
営業マンがとても気に入ったから、知り合いの紹介だからと、すぐに決めてしまうと、数年契約のためにすぐに業者を変えられず、反響もないままあまり役に立たないホームページがあるだけの状態になっているという話は良く聞くことです。
現在、当社は、ワードプレスを使ったブログ機能付きのホームページ作成サービスも提供しています。
ブログで更新することによりSEOも上がってきます。ちなみにご参考までですが、初期費用は4万9800円(税別)で、毎月5000円(税別)で、ブログの更新サポートと、サーバー代を含みます。
ワードプレスで作成するメリットとはこうです。たとえば、商品を買い取りしたときに、商品名や委託販売なのかどうかといったことを記入してブログ更新することになります。
その際、お客様がどのような気持ちで検索するかを考えて、お客様が使いそうな文面で記入すると、ヒットされる確率が高くなるということです。
お客様がたとえば「ルイ・ヴィトン買い取り船橋」といったキーワードを使って検索すると想定したら、そのような文面でブログを書けばヒットするということです。
お客様はどのような気持ちで探しているかを考えてブログを書くと良いと思います。
以前、ある勉強会でお会いしたことのある方で、お店を持たずに出張買取専門で上手くいっている方はブログを更新してファンをつけて、買い取りがどんどん入るそうです。
どのようにしているかと言うと、
・お客様が知りたいと思っていること
・お客様のためになること
をブログで更新をしているそうです。
その結果、どんどん買い取りが入るようになったそうです。
開業届け・税務申告はどうすればいいのか
古物商取得セミナーなどの場で、古物商取得を目指している方から、「開業届はどうすれば良いですか?」とよく質問を受けます。
これは、納税する税務署に個人事業の開業届出書を開業してから1ヶ月以内に提出すれば大丈夫です。
会社組織にしない場合は、まず屋号を決めましょう。ちなみに、私が個人事業主だった頃の屋号は苗字の泉を英語(spring)に訳して「スプリングカンパニー」と名付けました。
少々安直のような気もしますが、それと同じくらい、開業届の申請もあっけなく終わってしまいます。
「青色申告と白色申告、いずれが良いか」
個人的には、開業一年目は白色申告でいいと思います。白色、青色それぞれにメリット・デメリットがありますが、私の専門外なのでここでは割愛させていただきます。
ただ、日経表はキチンと毎日付けることを心掛けましょう。
仕入れの金額はもちろん、事務用品費、仕入れの際の交通費、携帯代金やプロパイダー料金、セミナー参加時の領収書など、一日のお金の出と入りをエクセルなどで管理するとわかりやすいと思います。
それをすることで実際の利益が出てきます。売上げが上がっていても、仕入金額と経費を差し引くと実はあまり儲けが多くなかったということもあります。
あと、肝心なのは、自分で出品した時間や仕入れにかかった時間、調べ事をするのに要した時間を絶えず気にかけることです。
申告そのものに、この時間は直接の関係はありませんが、それらの時間当たりのコストを気にすることで、副業にしても本業にしても、自分にかかる人件費を意識することになり、今後の事業の中で一つの指標となり、それもひとつの「経験」となります。
なお、副業として仕事をする場合でも、20万円以上の収入があった場合は確定申告をしなければなりません。
ここで言う収入とは、売上から経費を差し引いた金額です。
確定申告をすると会社にばれるのではないかなど、色々と心配事が出てくると思います。
そんなときは、古物商の申請と同様に、申告する地域の税務署の方に聞くと親切に教えてくれます。
もちろん、ここでも、警察に古物商の許可申請をするときと同様に、予め担当の方のお名前と都合の良い時間をお伺いしておけば、領収書などを持参し相談することで、経費になるかなども親切に教えてもらえます。
また、独立するとしても、個人で始める場合は、個人事業主として始めれば良いと思います。
人を雇う時期や会社(法人)にする時期、青色申告にする時期、税理士さんに頼む時期は、売り上げが上がってきて利益も出てきてから改めて考えれば良いと思います。
まずは、屋号を決め開業届を提出しましょう!
泉澤義明(いずみさわ・よしあき)
1970年千葉県生まれ。リサイクルアドバイザー。ネット古物商・ブランドリサイクルショップ『ブルーム』店主。ネット販売講師。広告代理店、テレビ制作会社勤務を経たのち独立。会社勤めをしているときにネットオークションに興味を持ち、出品を始める。オークションは順調に売上げを伸ばし、副業として始めて、半年後に会社を退職し、独立して”ネット古物商”となる。