昨日の海外時間では、注目の米・1月雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は前月比20.0万人増(市場予測は18.0万人増)、平均時給は前年比+2.9%(2009年6月以来最高)、失業率は4.1%で横ばいとなりました。また、政策金利を1.25-1.50%に0.25%引き上げた2017年12月のFOMCで金利据え置きを主張したカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が「賃金は漸く上昇し始めた兆しがある」と指摘するなど、年内3回の利上げ見通しをさらに増幅させる内容となりました。
昨日の海外市場動向
上記米雇用統計の結果をうけ、米10年国債利回りが2014年1月以来の2.854%に一段高となったこと、「強いドルは常に米国の利益になる」とのコーン・米国家経済会議委員長の発言、そして「年3回を超える利上げが必要かもしれない」とのカプラン・ダラス連銀総裁発言がサポートとなり、ドル円は一時110.480円(当社レート)を示現しました。
しかし、「米下院共和党はロシア疑惑捜査に関する文書を公開」との一部報道を手掛かりに持ち高調整売りが出たことでドル円は110.00円付近まで下落しました。NYダウが、一時700ドル近い急落となったこともドル円の上値を抑える材料となり、結局110.177円でNYクローズを迎えました。
本日の東京時間も、時間外のダウ先物が大幅に下落して始まっており、引き続きドル円を中心としたクロス円は上値の重い展開になっています。FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは78%で変わらずとなっています。
今日の予定
本日は、中国・1月Caixinサービス業PMI、英・1月サービス業PMI、米・1月ISM非製造業景況指数などが予定されています。
今後の見通し
前週末には、日銀が国債買い入れオペの増額と固定金利で無制限に買い入れを行なう「指し値オペ」を実施し、市場の金融政策の早期正常化観測が一段と後退しました。「米下院共和党はロシア疑惑捜査に関する文書を公開」とのヘッドラインにより上値が抑えられたドル円ですが、米雇用統計の結果を鑑みても、ドル円、クロス円は上値を拡大しやすい状況にあると考えられます。
引き続きユーロ円ロング保持
136.00円割れに損切りを置いている136.30円でのユーロ買い円売りのポジションですが、まだまだロングを保持したいと思います。直近では目新しいレジスタンスもないため、心理的節目である140.00円を目指す動きになるのではないでしょうか。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。