日経平均予想レンジ21,059~22,164円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、NYダウが先週急落した反動もあり、5日続伸から1,300ドル超の大幅反発を見せた。東京市場は、円高基調の継続が重しとなり、取引時間中の年初来安値20,950円まで売り込まれた。その後は、CPIを無事通過した米国株高を背景に反発力を強め、週末は21,720円で終了した。

海外の焦点

米国では、NYダウが急落分の半値戻し水準まで戻し、安心感が広がっている。注目の1月消費者物価指数(CPI)は前月比0.5%上昇(予想0.4%)、コアの0.3%上昇とともに市場予想を上回った。10年債利回りは4年ぶりとなる2.9%台に達した。一方、1月小売売上高は予想+0.2%に反して前月比0.3%減と弱い内容となり、重しとなっていた景気過熱感への警戒感が幾分和らいだ。

ただ、2月下旬に発表される個人消費支出(PCE)物価指数が2%に近付く可能性が高く、1月のCPIと合わせてFRBの利上げシナリオを占う先行指標となるだけに注視しておきたい。2月最終週に予定されるパウエルFRB議長の議会証言で、利上げペースが緩やかなものになるなど、市場に配慮する姿勢が示されればドル安の流れも落ち着くだろう。

国内の焦点

日本企業の2017年4-12月期決算発表はほぼ終了した。日経225採用銘柄の1株当たり予想純利益は1,675円(2/15)に上方修正された。これに見合う適正水準のPER14.5倍は24,300円であり、相場の大幅下落を抑制する要因といえる。

ただ、2019年3月期の予想利益が発表される5月上旬の決算発表では、上方修正される可能性は強いものの、一段の円高進行となれば上方修正の可能性が小さくなることには注意が必要となろう。いずれにしても、足元のPER12.81倍は売られ過ぎ水準で、買いゾーンに達していると捉えられる。

来週の株式相場

チャート形状の悪化が懸念される。2/9から75日移動平均線が下降に転じ、中期的な下げ相場に進展する可能性を示唆している。更に、25日線が75日線に急接近してデッドクロス形成への懸念が生じている。

一方、テクニカル指標面では、サイコロジカルライン3勝9敗、25日騰落レシオ71.81%、25日線との乖離率-8.47%など、いずれも底値圏を示している上、上昇中の200日線を割り込まず踏みとどまったことで下値サポートとして抵抗力を見せる可能性は強い。

結果として同線が下値目処となり、値固めから上昇転換へのタイミングを探る局面と見ている。3月期の配当取りも意識される時期に入り、バリュエーション面や企業価値を鑑みると、下値を売り込まれるリスクは小さいと考えられる。

以上来週は、決算発表が一巡し、当面は米金利、為替相場など外部環境を見据え、売られ過ぎによる修正局面を迎える場面となろう。日経平均のレンジは、上値は1/23高値からの下落幅の38.2%戻しに当たる22,164円が意識され、下値は200日線の21,059円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト